私と中国〈890〉

「望郷の鐘」に託した熱い思い

和田登さん
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  「現代ぷろだくしょん」が映画化する「望郷の鐘―満蒙開拓団の落日」の原作者。脚本も手がけた。「子どもの文学から社会・民族をみる」をテーマにしてきた児童文学作家である。  これまでに『悲しみの砦』(岩崎書店)、『想い出のアン』(同)、『キムの十字架』(明石書店)など約100冊の著書がある。  映画の主人公・山本慈昭さんと同じ信州生まれ。信州大・上田女子短大ほか地元で教師をしてきた。  「望郷の鐘」執筆の動機は、慈昭さんの著書『戦争は未だ終らない』に触発されたことだ。「信州に関わる戦争について書こうとする時、松代大本営建設で連行された朝鮮人と地元住民の苦しみ、そして満蒙開拓は欠かせない。その歴史の真実を改めてきちんと伝えたかった」と話す。  この本で最も訴えたかったことは「慈昭さんが大陸に眠る日本人のことよりも、天竜川の平岡ダム工事で強制連行され犠牲になった中国人の遺骨収集を真っ先にしたこと。また中国での逃避行でも現地住民の中には多数救済の手を差し伸べてくれた人がいた人間愛」。  これらを見ると、「国家関係はいかに険悪でも、苦難を体験した人民同士は分かり合えるということです。いまの日中関係にもそのまま当てはまるのではないか」と説く。  そして「いま大事なことは、国として反省すべき内容は素直に認めることではないか。真の国益・平和はそこから生まれる。歴史こそ最高の大学なのだ」と締めくくってくれた。 (S)


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