
東京葛飾区亀有駅を拠点に静さんはタクシー運転手を14年間続けている。その車に乗り合わせた映画会社代表(パル企画)の鈴木ワタルさんに〝身の上話〟を聞かれ、中国と日本での生き様を話したところ「ドキュメンタリー映画にしよう」と話がまとまった。
1954年中国大連で生まれ、母が日本人(45歳で死去)、父は中華民国時代に「八大資産家」といわれた振徳・黄家の息子(解放後没落・存命90歳)。静さんは、中国では内外装の会社を経営し50人を雇用していた。
それを投げ捨て、日本に来た最大の理由は「2つの国はわたしの国。国籍は関係ない」との思いから。中国では、12歳の時、母が日本人という理由で「文革」の迫害を受け、3カ月投獄されたこともある。
91年に来日。中国で2度、日本で1度の離婚を経て、皿洗い、スナック、家政婦などの仕事をしながら誰の力も借りず異父兄妹4人を育て上げ、自分の持ち家も買うことができた。「家族・子どもと暮らせれば幸せ」と屈託のない笑顔を見せた。
この話を聞いた鈴木ワタルさんは、「まさに日中戦争に翻弄された人生。文革体験、家庭崩壊など決して平穏ではなかった静さんの目を通して、歴史と未来のありようを探るとともに、8割の日本人が中国に親しみを感じないという現況の改善の助けになれば」と映画化を着想した。
映画はすでに完成、題名は「中国・日本 わたしの国」、108分。静さんの他、父・4人の子ども・姉・友人知人が多数出演する。監督は、ちと瀬千比呂氏(本作品で2013山形国際ドキュメンタリー映画祭正式参加)。3月頃から、映画館上映を予定。「日中友好協会でも上映を」と呼びかけている。
(宣)