私と日本〈75〉
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天津外国語大学日本語学院講師 早稲田大学大学院教育学研究科博士課程
孫 暁英さん
一人ひとりに友好の橋がある |
早稲田大学院で学びながら、週1日、東京・荒川区内の小学校で中国人生徒の日本語指導に当たっています。荒川区では、来日間もない外国籍の子どもへの日本語指導は48時間行なうだけ。
その後のフォローがないことに危機感を募らせた協会荒川支部が、行政や中国人留学生と連携して日本語や精神的な支援活動を行なっています。
現在、中国人の子どもたちは区内の小中学校に多数在籍。1人の生徒を2人の留学生が受け持ちます。「自分の意思ではなく、両親の仕事の都合で来日した子どもたちはとても孤独。うまく対応できないと、うつに陥ったり暴力を振るうようになってしまう」と、やさしい先生の顔に。
来日前は、天津外国語大学日本語学院で日本講師として従事。熱心な仕事ぶりが大学側から評価され、2007年に中国教育省国際交流局へ派遣。
日中教育者の交流の通訳、アテンダントのほか、安倍首相時代に始まった「21世紀東アジア青少年大交流計画」で、毎年1900人の中国の高校生を日本に受け入れ、現地の高校生と交流するプロジェクトの秘書長を2年間務めました。
今年8月に中国天津外国語大学で開催した「第十回世界日本語教育研究大会」では、世界中から学者・研究者約2000人が参加。その通訳として大活躍する一方で、「言語教育政策からみた中国の日本語教育」の研究成果を発表したばかり。
「(中国)政府に現場の教育について発信できる先生になりたい」と、夢は尽きません。(押)