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日中友好新聞

2013年8月5日号1面
アジア・太平洋を平和な海に
35周年を迎えた日中平和友好条約
大村 新一郎

日中平和友好条約の調印式(1978年8月12日、北京・人民大会堂)
日中平和友好条約の調印式(1978年8月12日、北京・人民大会堂)

 

紛争の平和解決を相互確認

 

 今年8月12日は、日中平和友好条約調印(1978年)から35周年になります。この条約によって、柳条湖事件(1931年)から1945年の日本の敗戦まで足かけ15年にわたった日中戦争は完全に終わりました。盧溝橋事件(1937年)、太平洋戦争へと発展したこの戦争で、日本は中国、東南アジアなどを侵略して2000万人の人命を奪い、また310万人の日本人の命も失われました。
 戦後日本は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」し、戦争の放棄を明らかにした新しい憲法をもちました。
 日中平和友好条約は、日中両国が「恒久的な平和友好関係を発展させる」時代に入ったとし、両国は「相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認」(第1条)しています。

 

両国関係の到達点を大切に

 

日中平和友好条約締結35周年を祝う中国帰国者発表会(7月14日)
日中平和友好条約締結35周年を祝う中国帰国者発表会(7月14日)

 日中平和友好条約の調印から今日までの35年間、日中両国には、大きな政治的、経済的発展がありました。両国はいまや、共存共栄以外に道はない深い関係をもっています。その発展の道程は、この間、両国の政府によって発表された共同文書にも現れています。
 小渕首相―江沢民主席による日中共同宣言(1998年)は「平和と発展のための友好協力パートナーシップ」を打ち出し、その基礎として、日本側が「1995年8月15日の内閣総理大臣談話(村山談話)を遵守」するとともに、共同文書で初めて「過去の一時期の中国への侵略」という言葉を使い、「深い反省を表明」しました。
 この宣言はまた、「関係国に核実験と核軍備競争の停止を強くよびかけ」、また、日中双方がASEAN地域フォーラム等の活動に積極的に参加することを打ち出しています。
 福田首相―胡錦濤主席による日中共同声明(2008年)は日中の「戦略的互恵関係」の「包括的推進」を打ち出し、そのひとつの内容として「共に努力して、東シナ海を平和、協力、友好の海とする」とうたい、また、北東アジア地域の平和と安定の維持のために、六者会合のプロセスの推進、日朝国交正常化の重要性への認識の共有、を明らかにしています。
 昨今の日中関係を見るにつけても、この到達点を大事にすることが必要と思われます。

 

日本が今後進む道は

 

 この間、日本では、現在の平和憲法を完全に破棄して、戦前の「日本を取り戻す」動きが強まっています。日米両国政府は、日本をアメリカの目下の同盟者として世界で戦争する国にするために、日米安保体制の強化、日米軍事一体化を進めています。
 その中で、安倍首相は「侵略の定義はさだまっていない」、「歴史家が判断すること」などといっています。しかし、こうした「価値観」は、「慰安婦必要論」とともに、世界のどこからも受け入れられるものではありません。
 中国の強大化に対して、アメリカはアメリカとしての米中戦略をもっており、支配下にある日本の経済力、軍事力を利用してアジア・太平洋政策を立てていますが、だからといって、日本の政府が「中国の脅威」を言いたて、「日米同盟」にしがみついていればうまくいくと考えるのはたいへんな勘違いでしょう。オバマ大統領―習近平主席の8時間のマラソン首脳会談は、新しい米中関係を示しています。
 中国の側にも、GDP世界第2位に強大化し、さらに発展する国力を背景に、平和的進出とはいえない動きがあることも、懸念されるところです。日本が過去70年以上にわたって実効支配を続けている尖閣諸島に対して、それを実力で揺るがそうとする動きに対しては、きちんとした批判が必要と考えます。
 日中平和友好条約35周年に当たって必要なことは、平和憲法と非核3原則をもつ日本が、歴史の逆流や「軍事同盟」依存を退け、ASEAN諸国とも提携して、東シナ海を、そして太平洋を平和の海にするために、核兵器廃絶の展望を含めて、努力していくことではないでしょうか。

(協会本部副会長)

 

[声明]日中平和友好条約締結35周年に当たって 会長 長尾光之

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