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[抗議声明]
高市首相の「台湾有事は日本の存立危機
事態」発言に抗議し、直ちに撤回を求める

内閣総理大臣 高市早苗 殿

 高市首相は国会で「戦艦を使って、武力行使も伴うものであれば、これはどう考えても『存立危機事態』になりうる」と、米軍の戦争に自衛隊が参戦するという危機を煽る答弁をおこない、その後度重なる撤回要求を拒否している。我々日中友好協会は、①台湾問題は基本的に中国の国内問題である、②存立危機事態の発言そのものが、中国に対する内政干渉である、③「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」(1972年の日中共同声明)という「一つの中国」の原則の立場に反している。この発言は日中関係に重大な緊張をもたらし、日本を戦争に巻き込む危険なものであり、強く抗議するとともに撤回を求める。
 2015年多くの国民の反対を無視して、安倍内閣は安保法制改悪を強行し、集団的自衛権行使容認に踏み切った。しかし、歴代内閣は国民世論の前で、存立危機事態の内容は曖昧なままにせざるを得なかった。今回高市首相は就任早々、具体的に名指しして、中国の激しい反発を招いている。日中双方は非難の応酬を行い、中国政府は日本への渡航に対して制限を加えるなど緊張関係が一挙に高まっているが、今回の問題の出発点は高市答弁であることは明白である。
 これまで日本政府はアメリカの対中政策に全面的に協力し、台湾有事を演出する一方、外交を通じた台湾有事を起こさせないための努力をするどころか、中国の「脅威」を煽ってひたすら大軍拡を進めてきた。沖縄周辺島嶼の全島要塞化、戦時に備えた県民の避難計画立案、敵基地先制攻撃検討、などである。
 日本は戦後80年の長きにわたり平和憲法のもと多くの国民世論の力で決して戦争することがなかったが、近年差別と排外主義を主張する政党の台頭もあり、憲法改定など予断を許さない状況にある。高市首相の発言はこうした勢力を助長することになる。
 日中友好協会は日中両政府が平和5原則に基づいて「すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する」と宣言した日中共同声明と日中平和友好条約の精神こそが日中友好と世界平和を実現する規範であることを訴えてきた。日本を再び戦争に巻き込む危険な動きには断固として反対する。
 台湾をめぐっては中国政府と台湾の人々が解決すべき問題であり、軍事的にではなく平和的に解決されることを願っている。アメリカや日本が介入すべきではなく、日中両政府をはじめ関係者が冷静に行動することを望んでいる。

2025年11月17日
日本中国友好協会
(会長 井上久士)




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