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[協会声明]
安保関連3文書の改定に断固反対し、
外交努力に全力を傾けることを強く求める

 岸田内閣が「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」のいわゆる安保関連3文書の改定を閣議決定した。
 この改定では、軍事的な脅威として「ロシアのウクライナ侵略、北朝鮮の大量破壊兵器や弾道ミサイル等の増強、中国の台湾周辺における威圧的な軍事活動の活発化」を挙げ、侵略を抑止するために防衛力を抜本的に強化するとし、相手の領域で有効な反撃を加えることを可能にする能力を持つことが強調されている。この改定は、日本自らが侵略国としてアジア太平洋諸国に多大な惨禍をもたらした過ちの反省と教訓から日本国憲法に明記した「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」との精神を元にした外交努力をしないままに、国是としてきた「専守防衛」をかなぐり捨てて、危険な軍事的な対抗の道に突き進むものと言わざるを得ない。加えて、このような安全保障政策の大転換を国会での論議もないままに閣議決定のみで行なうことはけっして許されない。
 日本はかつて、「暴支膺懲」(横暴な中国を懲らしめよ)をスローガンに中国への侵略戦争を正当化し、泥沼の戦争へ突き進み、国内外に言語に絶する惨禍をもたらした。為政者が他国の「脅威」を唱え、仮想敵国を作り出して軍備を増強し、後戻りできない戦争への道を突き進み、相手国と自国の無辜の市民に多大な犠牲を強いた歴史を忘れてはならない。
 1972年の日中国交正常化時の日中共同声明で日中両政府は、平和5原則と国連憲章の原則に基づいて「すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する」と宣言した。安保関連3文書の改定は、日中両国の友好と信頼関係の基礎である日中共同声明の精神をないがしろにするものであり、日中友好に逆行する軍事的な対立関係に陥ることを強く危惧する。
 さらに、2027年度に防衛費をGDP比2%へ倍増させることが明記されたが、そもそも、この増額は米国が2020年から同盟国に対して求めてきたものである。米国は台湾の独立を煽るような動きを強めているが、米国と日本が「台湾は中国の一部である」とのこれまでの約束を守れば、台湾をめぐる軍事的な緊張は起こり得ない。この中国と台湾などの対立軸を意図的に作りながら軍事費を増大させようとする米国の思惑に従うことがあってはならない。
 国内メディアの報道や世論には、増税などの財源のみを問題視し、防衛費の倍増を容認する論調も広がっている。北朝鮮や中国の脅威が喧伝されているが、日本が侵略される危険性が現実に存在するのか、軍事的な緊張を未然に防ぐ外交努力がなされているのか、あらためて厳しく検証されるべきである。
 日本がなすべきは、隣国である中国や北朝鮮、ロシアとの対話の道を開き、軍事的な対立ではない話し合いによる外交努力によってアジアと世界の平和の構築に向けて全力をあげることである。日本の安全保障のあり方を根本から転換させ、平和憲法を形骸化させる安保関連3文書の改定に断固反対し、軍事力ではない外交努力に全力を傾けることを岸田政権に強く求めるものである。

2022年12月21日
 日本中国友好協会




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