[理事長談話]
香港返還時の国際公約の厳守を
香港返還時の国際公約の厳守を
香港国家安全維持法の成立、「愛国者」のみに立候補が認められる選挙制度への改変、蘋果日報の廃刊、政府に忠誠をつくすよう宣誓することが求められた民主派議員200名以上の辞職など、香港における一連の動きを受けて、香港返還時に中国政府が自ら提案し国際公約とした「一国二制度」は破棄されたとの批判が強まり、嫌中感情が広がる中で、日中友好運動も深刻な影響を受けています。
日本中国友好協会は、制度や法律はその国の国民が決めるものであり、諸外国が介入してはならないとの「内政不干渉」の原則を堅持しています。一方で、かつて日本が反戦平和と民主主義を求める声や政府・軍部を批判する言論を徹底的に圧殺する「治安維持法」のもとで、軍部の独走を許し侵略戦争への道を突き進み、アジア諸国民に未曾有の惨禍を与えた痛苦の体験と教訓を踏まえ、反対意見を排除する権力の行動は国民の権利保障と国の発展を妨げるとともに、国際的な孤立を招くことへの警鐘を鳴らし続けてきました。
日米同盟のもとでの軍事一体化による「対中包囲網」の強化と軍事的な対立を煽る動きが広がる中で、香港の事態が対中感情をさらに悪化させ、軍事的対立を容認する世論を高めていくことを強く憂慮しています。
世界をリードする大国となった中国が香港市民の多数の理解を得られるように、反対意見や少数意見を包含する大きな度量を持ち、時間をかけた粘り強い議論と働きかけを重ねるとともに、「一国二制度」の国際公約を厳守し、国際社会の支持と信頼を勝ち取っていくことを心から願うものです。
日本中国友好協会
理事長 松尾 武蔵