私と日本〈127〉
|
慶応大学大学院 経済学研究科博士課程後期
李 晨さん
直接交流で友好関係深めよう
|
柔らかい物腰からは想像がつかないほど意思が強く独立心・チャレンジ精神旺盛な李さん。
2010年9月、中国福建省の国立華僑大学の日本語学科と経済学科に入学。
李さんは「日本の経済に興味があったから」と控えめだが、2学科同時入学はかなりの成績優秀者でないと許されない。
1年生の時、公費交換留学生制度を知り、「若いうちに海外へ」と決心。その思いを実現するため、応募必須条件だった日本語能力試験1級をわずか3年で取得、同時に日本の文化習慣についても学習を深め「日本への留学」実現へ向け着々と準備を進めた。
4年生で中国光大銀行福州支店に就職内定が出たものの、夢をあきらめきれず辞退。李さんから事後報告を受けた両親は激怒し、日本への留学も大反対だったが、3つ違いの姉が後押ししてくれた。
14年10月から念願かない公費交換留学生として長崎県立大学経済学研究科へ。在籍中、沖縄、九州、富山、京都、大阪、愛知、東京、北海道のほか、韓国や台湾へも旅行し見聞を広げた。
「偏見や間違った先入観では友好関係は生まれない。まずは直接行って交流してみる。そうすれば、きっと価値観が変わり理解が深まるはず」と力を込める。
北東アジア学会で大西広先生(協会本部副理事長)と出会い、さらなる高みをめざして16年9月に慶応大学大学院へ。大西研究室に在籍し数理マルクス経済学を学んでいる。
「大西先生には指導のほか、奨学金のことなどもお世話になり感謝しています。将来は大学の先生になりたい、いい母親にもなりたい」。
1990年生まれ、福建省寧徳市古田県出身。
(押)