私と日本〈116〉
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京都で大学講師
倪 卉 (にき) さん
「文学好き」を生かして
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倪卉さんは、北京の宣武区で生まれ育った生粋の北京っ娘。倪卉は「にき」と読む。
日本のアニメ「るろうに剣心」に描かれた五山の送り火の場面に刺激を受けて、2001年に私費留学生として憧れの京都にやってきて、すでに15年京都に暮しており、とてもきれいな日本語を話される。
京都大学大学院で地域経済と農業経済を専攻し、2012年に京都大学より経済学博士号を取得、2016年4月には、博士論文を基にして京都大学出版会から『蚕糸と現代中国』を出版した。
この本は、ほぼ10年にわたって続けてきた西南中国の農村のフィールドワークの成果をまとめた労作で、まだあまり知られていない西南中国農村地域のありのままの姿を伝えることで、より立体的に現代中国を理解してもらいたいという意図で書かれた。
2014年から立命館大学の中国語の嘱託講師として勤めているが、それ以前の2011年から京都府連の中国語教室の若手として活躍してこられ、きれいな北京語の発音と、中国に興味をもってほしいという熱意にあふれた授業で受講生を引きつけてきた。
一方で、中学生のころからずっと『紅楼夢』の熱烈な愛読者で、自分の成長と共に『紅楼夢』に対する理解が変化してゆくのも、読書の楽しみだと語る文学好き。
今年からは京都府連の筧文生(かけい ふみ お)先生の漢詩講座にも参加して、その日学んだ詩を中国語で朗読して皆を楽しませてくれている。
(小林治平)