私と日本〈106〉
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人民大学教授
田 宇さん
胎児期から音楽に目覚め
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1987年、中国江西省瑞昌市で生まれた。「生来の音楽好き」と自称する。
「なぜ」と聞くと「一にも二にも音楽好きの母の影響です。私の生まれる前からもう進路は決められていました。母のお腹にいる時から、音楽を聞くと手足をばたつかせたり、幼児期でも音楽を聞かせると、ぴたっと泣き止んだそうです」と、母から聞いた話を紹介してくれた。
9歳から二胡を学び、2006年には中国音楽界の最高学府とされる中国音楽学院に入学、張尊連教授の門下生になり、大学3年から同学院の教授で指揮者の黄暁飛氏に作曲を学んだ。09年、中国音楽協会の「成才之路」コンクール作曲部門で3位に入賞した。
2010年に来日し、15年に東京学芸大学大学院音楽教育専攻作曲コースを修了。日本では山内雅広氏に師事した。「なるほど、音楽のエリートコースですね」と納得した。
現在は「青空田宇二胡教室」を開催し「日本で本場の二胡を普及させたい」と意気込む。教室には数十人の生徒がいるが、本紙にも登場した中国琵琶の鮑捷さんも生徒の一人である。東日本大震災の原発事故で苦しむ石川町(福島県)に出向き、人びとの心を慰めた。
中国音楽の専門誌『二胡の友』に「二胡演奏の科学」を連載中。10月31日(土)には「青空田宇二胡教室15年発表会」を東京港区「白金台いきいきプラザホール」で開く。
「日中関係が良くないですが…」と水を向けると、「国民同士の理解を深めることが大切なのでは。音楽はその最高の武器ですよ」と、笑いながら答えてくれた。
(宣)
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