日中友好協会(日本中国友好協会)

日本中国友好協会
〒101-0065
東京都千代田区西神田2-4-1 東方学会ビル3F
Tel:03(3234)4700
Fax:03(3234)4703

HOME > 私と日本 > 2013年11月25日号

私と日本〈88〉

李 素楨さん

「日中口述歴史」研究の第一人者
李 素楨さん

 

「在『満』日本人の中国語検定制度」で新著

 実に研究熱心で積極的。学会では、堂々と発言したり質問する姿が印象的です。海外出張でも、往復の機中は、ほとんど資料調べに費やされます。
 1951年、中国東北の吉林省生まれ、75年、吉林師範大学を卒業。同大学の教授などを経て93年に来日し、在日すでに20年。
 現在、桜美林大学、法政大学などで中国語を教えており、教室での評判は上々。
 同時に、「日中口述歴史文化研究会」(会長=桜美林大学名誉教授・植田渥雄氏)の常務副会長として、風化しつつある日「満」関係資料の掘り起こしに努め、「ありのままの歴史を後世に伝えたい」と、口述文献の収集・編集や調査に真剣に取り組んでいる、この道の第一人者。
 若いころ、長春市内の図書館倉庫で発見した「満州」時代の日本語資料が、李さんのその後の「研究」と「日本との関わり」を決定づけました。それは、「満州」在住日本人向け中国語能力検定試験制度の全容を網羅した膨大な公式記録でした。
 李さんは、ひたむきに資料を整理・分析し、10年にも及ぶ研鑽の結果、この問題をテーマに日本語で論文を執筆、その内容が高く評価され、07年に東京の桜美林大学で見事、博士号(学術)を取得。このほど、同論文の全文が一冊の本として出版されました。
 李さんは、旧「満州」在住者から体験の聞き取りを行ないながら、8年前に前記の「研究会」を立ち上げ、すでにインタビューした日本人は、八路軍や国民党軍参加者などを含め100人以上。
 李さんは「日本と中国の平和友好、民間交流の促進のため、口述歴史の掘り起こしに一層頑張りたい」と意欲満々です。(平井)

[一覧に戻る]