私と日本〈85〉
|
本紙連載ともかかわった留学生
許(シュ) 旻(ミン)さん
縁ある人、物、ところを大事に |
Facebookに登場する彼女は、どこにでもいるおしゃれな女の子。ネットを通しての情報収集は多岐にわたる。中学時から日本語も学んだ。絵も写真も好き。
前号で完結した「中国の若者は今」の連載開始時から添えられた全スナップ写真の撮影者(静安外)でもある。「1人の普通の学生が見た周囲の環境を写真で表したかっただけ」と言う。
いろいろ文章を書くのでも、不十分さに気づかされると、「構想」を替え何度でも書き直し、より良いものにしてきた。
好奇心から日本の普通の事情をも体験しようとする。この1年留学できた京都では、あちこち動き回った。恩人のいる東京、年末年始の福岡、雪深い金沢、友達と過した春節の名古屋、焼香に付き合った札幌…
機会ができると労を惜しまず出向いた。「体験できた京大も京都も日本も一層好きになりました」。修了論文提出後、上海外大に戻り4年生になる。
日本の役に立ちたいと思っても、日本語だけで生きていけるとは限らない。「仕事で英語を生かすことも考え、今後ともいろいろ勉強し続けるつもり」と言う。
抱負の一つが、愛する祖国と日本の架け橋。また、マスメディアでの仕事=真実を伝える役割を果すこと。温州列車事故時の祖国の報道人を自分らの誇りとして敬う。若さは周りの大人に支えられて成長する。
山東省の自宅のガラス戸には子ども時分に描いた大きな絵が今も生きている。両親や伯母たちからも大事に育てられてきた一人っ子。自己主張し続ける前途洋々の21歳。
(石津宏介)