私と日本〈83〉
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モンゴル族古筝奏者
タラーさん
古筝の豊かな音色で魅了 |
中国の内モンゴル自治区フフホト生れ。流暢な日本語を静かに話す。母が国立内モンゴル歌舞団の民謡歌手だった影響で、10歳の時から内モンゴル少年宮で舞踊を学んだ。
ふとした怪我がきっかけで舞踊をやめ、13歳から古筝を習い始めた。翌年には内モンゴル芸術学院に入学、内モンゴル古筝第一人者ナレンゲレル先生に師事、古筝の技術と音楽知識を学んだ。卒業後、選抜されて国立内モンゴル歌舞団に入団し、経歴を積んだ。
そのようななか、「ずっと進んでいる」日本へのあこがれもあり、1997年来日。来日に当たっては、大学の書記だった父が「広い世界を見てきなさい」と言って、少しも反対せずに送り出してくれた。
最初に住んだ新潟では、小中学校や美術館、テレビ、ラジオにゲスト出演して活躍、両国文化の交流に努めた功績が認められ、大学卒業に際しては「国際交流功労賞」を授与された。
日本では「モンゴル族です」と言うだけで親近感をもって暖かく迎えてくれるのが嬉しい。2001年に上京後、古筝の独演や、馬頭琴、二胡その他の楽器とのコラボにも取り組み、琴の弾き語りにも挑戦している。
モンゴル族の夫と知り合い結婚、今は小学校1年生の息子と4歳の娘の子育てに忙しく、演奏活動がなかなかできないのが悩み。2013年の協会東京都連「新春の集い」(1月25日)に初出演、豊かな音色が会場から大きな拍手を受けた。(北中)