私と日本〈78〉
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古筝奏者・講師
王 敏さん
古筝の普及で日中友好を |
王さんの奏でる古筝の音色は力強く繊細で、多くの人びとを魅了します。トップ奏者として中国をはじめ、日本全国で演奏会を行う傍ら、東京都内の3教室で5歳から78歳までの生徒に古筝を教え、次々と国際コンクールに入賞させる優秀な教師の一面も。
古筝との出合いは10歳のころ。古筝の閻俐先生が隣人だったこともあり、その自然な音色に惹かれ、見よう見まねで古筝を弾くように。その後、難関の瀋陽音楽学院を志します。
「例年合格者はたった1人。当時、音楽学院の付属学校の生徒でもない私が、合格するのは不可能だと誰もが反対しましたが、中国民謡の歌手だった母だけは応援してくれました。睡眠時間を削って、学科の勉強とレッスンに明け暮れました。その結果、みごと合格。その年の合格者は2人で、極めて異例なこと。人生チャレンジしたいんです」と屈託なく笑います。
1999年来日。当初、大学院への進学に必要な日本語を習得することが目的でしたが、その後、英語が必修科目に変更され、進学を断念。しかし、日本と中国を行き来するうちに日本をすっかり気に入ってしまい、日本で本格的に活動することに。
「日本の方に中国の芸術を理解してもらえるよう精いっぱい活動することが日中友好につながると思います。今後は中国でしか認められていない古筝の認定を日本でも行えるよう制度の改革に努力したい。そうすれば日本での古筝の普及が広まると思うのです。どんどん私を追い越してほしい」と意欲的です。
遼寧省瀋陽市出身。75年生まれ。遼寧省民族音楽家協会会員。日本華裔華人学芸術家連合会理事。古筝教室の問い合わせ先=winny05@i.softbank.jp(@は小文字)