私と中国〈967〉
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奈良支部副支部長
山下 善昭さん
中国の本当の姿を知ってほしい |
山下さんは和歌山県出身、旧国鉄に入社して、奈良勤務となり、奈良に移住。以来、国鉄民営化の波をも経て、一昨年、退職されました。
山下さんの中国への思いは、父上の思いと重なります。
父上は戦前、中国の大学で学び、戦後、故郷和歌山県で教員となり、日中友好協会和歌山県連の会員として、帰国子女の通訳に当たりました。その思い出を次の文章にまとめました。
「私の父は中国で招集を受け、満州で終戦を迎えたらしい。子どものころは、よくシベリア鉄道での過酷な移動、空腹での強制労働などを聞かされました。背中には貫通銃創の傷痕が大きく残っていました」
「父は中国の学校で学び、中国での生活を望んでいたようですが、『戦争が夢を打ち砕いた』『友人が殺されてしまった』と、よく戦争の悲惨さを嘆いていました」
中国への父上の思いは、中国の友人たちに会いに行きたいという思いでしたが、かないませんでした。「申請しても訪中は政権が違うからパスポートが下りない」と残念がっていたそうです。
日中友好新聞との出合いは中学生の時。父上から新聞の配達を頼まれたのがきっかけでした。中国を愛している人たち、帰国日本人が身近にいることを知り、改めて日本の起こした侵略戦争の爪痕の大きさを痛感。中国という国をもっと深く知りたい、行ってみたいとの思いで新聞を読み始めました。
「中国の本当の姿を知ってもらうために、仲間と一緒に友好を広めていきたい」
奈良支部にとって頼もしい方です。
(平井冨勝)