私と中国〈962〉
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『対中外交の蹉跌―上海と日本人外交官』著者、 在上海日本国総領事
片山 和之さん
冷静かつ戦略的WIN-WINの互恵関係を |
8月初めに一時帰国した片山和之在上海日本国総領事は、精力的に多くの交流を行なった。
片山氏は1960年、広島県生まれ。1983年、京都大学法学部を卒業し外務省入省。中国課首席事務官、在米国大使館参事官、在中国大使館経済公使、在デトロイト総領事などを経て、2015年8月在上海総領事に就任。中国生活は5度目だが、上海は初めて。
片山氏は新著『対中外交の蹉跌―上海と日本人外交官』で、上海で活躍した代表的な日本人外交官11人の足跡をたどり、彼らが果たした役割と限界、そして蹉跌の背景と、現代の日中関係への教訓と視座を提示。多くの読者から評価の声が寄せられた。
上海地域と日本との関係の深さについて触れ「上海総領事館のビザ発給件数は175万件(2016年)。今年1月4日の御用始めの申請件数は1日で1万4000件を超過し、史上最高を記録した。全世界の在外公館で発給するビザの3分の1を上海総領事館のみで発給している」。
また「上海総領事館の管轄地域(上海市、江蘇省、浙江省、安徽省、江西省)に日本の対中投資の8割、対中貿易の5割、中国内日系企業数の6割、中国在留邦人の5割が集中している」などと紹介。「これらの数字は、日本と上海地域がいかに重要で緊密な関係を有しているかを象徴している」と強調した。
これからの日中関係については「経済関係は運命共同体」、「国民感情によって左右される不安定な関係から、共通利益に根ざした冷静かつ戦略的なWIN―WINの互恵関係を」と語り、力強い「戦略的互恵関係の推進」を訴えた。
(段躍中)