私と中国〈937〉
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102歳の元労組幹部
杉浦 正男さん
「不再戦」の旗で日中結ぶ
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今年102歳の杉浦正男さんは、「メーデーの歴史」や「若者たちへの伝言」の執筆者で、戦前は出版印刷クラブを組織し投獄や弾圧を受けたが、戦後、労働運動のナショナルセンター「産別会議」事務局長の要職に就いた人物である。
1949年に成立した新中国に対し多くの人びとは期待を抱いていたが、国交が閉ざされビザ無し渡航は困難なため、杉浦さんはインドで開催中のAA連帯会議へ参加し、香港経由で中国入りを果たした。
当時は1950年代半ばで、全国諸団体から「再軍備反対」「誓平和友好」と日本語で手書きされた旗が多数中国側に寄贈された。
その旗が2015年、湖北省武漢市で107本発見され、地元紙で大々的に掲載されたので、記者が同年急遽来日し、杉浦さんを訪ね当てて訪問した。
杉浦さんは彼らを熱烈歓迎し、1本の旗をなでながら「この旗は戦後10年、日本の民間人があの侵略戦争を反省し、それを忘れないために寄贈したもの」と、当時を懐かしんで語った。
インタビューでは少し耳が遠い以外は思考が素早く発音は明晰で、記者一行を驚かせた。
杉浦さんの健康の秘訣は、「毎朝3時間近く3紙を端から端まで読むことと、就寝前にB5判手帳に日記を欠かさず書くこと」など、規則的な生活を送っている点にある。
壁には「つもりちがい十か条」の人生訓が張ってあり、入口には、「若者を戦場に送るな!」と、ポスター2枚が掛かっている。
杉浦さんは今年も地元・千葉県船橋の統一メーデーに参加し元気に連帯あいさつを行い、参加者から盛んな拍手を浴びていた。
(笹本)