私と中国〈921〉
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経済研究者
斎藤 重雄さん
真の「日中友好」を考える
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長年大学で経済学を研究し、シンポジウムで中国を訪問したり、中国人留学生を親身になって指導し教え子の帰国後も交流されてきました。
それだけに、昨今の日中関係に心を痛めておられるので、日中友好について、考えを聞くと、一つは中国の豊かな風景に接すること。
「中国の景勝地に行けば、『百聞は一見に如かず』で、スケールの大きさと見事さに感嘆し、中国の自然が好きになります。中国の自然が好きになれば、中国国民と親しくなりたくなるのが人情で、この人情の発現が友好の原点であると思います」
もう一つは、親友をつくる要領に従うこと。つまり、「相手の長所と短所(問題)をよく知ること、また自分を曝(さら)け出すことです。相手と中国を知りもしないで、徒(いたづら)に褒(ほ)めたり、問題を見逃したりすると、相手は嬉しそうな顔をしても内心では、こちらの下心や理性が疑われ、馬鹿にされます」。
「中国脅威論」についても、「『為(ため)にする荒唐無稽』ととらえることは、真の友好にはつながらないと思います。言論の制約が厳しく、聞こえてはきませんが、中国国内にも今の中国政府の動きに疑問を感じている方が少なくないと思われるし、ベトナムの国民と国家の感慨も考慮すべきだからです」と、意味深い考え方を披露されました。
(田)