私と中国〈909〉
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NPO機関誌『家園』編集長
白山 明徳さん
帰国者・支援者つなぐ絆
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「NPO中国帰国者・日中友好の会」は2011年から機関紙『家園』を発行している。白山さんは創刊時からの編集長。『家園』は「帰国者の家」という意味だ。
創刊号発刊の年に「東日本大震災」が起こった。NPOはたくさんの水餃子を作り、トラックで陸前高田市(岩手県)に駆けつけ、温かい水餃子を被災者に振る舞い大喜びされた。創刊号はその「特集」となっている。
年2回刊、中国語と日本語を併記して誰でも読めるようになっている。発行部数は500強、帰国者と弁護団、日中友好協会など支援団体や厚生労働省などの政府機関にも送付している。固い絆の役目を果たしている。 現在はカラーで見ごたえのある刊行物である。「お金がないから自前の印刷ですよ」と白山さん。編集委員は7人、2世も3人参加している。
「編集上の苦労は」と聞くと、「限られた紙面でどう効果的なものにするかが大変です。でも活動が盛んだから、題材には事欠きません」と意欲満々だ。
遼寧省瀋陽へのソ連軍の侵攻、父は死亡し、母は2歳の明徳さんをやむなく中国の養父母に預け、兄と帰国の途についたが、無事だったかどうかも定かでない。以来一度も消息がつかめない。
1988年、43歳で妻子・養母と共に帰国した。60歳まで働きながら、「残留孤児訴訟」に参加し中心となって頑張った。残留孤児の生涯をすべて体験した白山さん。「『家園』は、残留孤児の闘いの象徴です。2世3世にもバトンタッチできるよう良いものを作り続けたい」と、笑顔を見せた。(宣)