私と中国〈852〉
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オリオ商会代表取締役
鈴木 一さん
“中国映画の全貌”で 新中国草創期の名作公開へ |
「新中国草創期の中国映画甦る」の報を受けると、即座に今秋の“中国映画の全貌”上映会で公開することを決断した。長年の経験から「中国映画ファンは真面目。必ず観てくれる」との直感が働いた。
“全貌”上映会は10月の東京を皮切りに、年内に名古屋、大阪、神戸で、福岡では「アジア映画祭」(9月)の一部として開かれ、他の多くの中国映画と共に、「白毛女」、「ニエアル」、「阿片戦争」、「農奴」、「五人の娘」が上映される。「あと5本ぐらい増やしたい」と意欲満々だ。
名画上映で有名な東京池袋の文芸坐に17年間勤務。その後、中国映画を一手に引き受けていた(株)徳間書店に入社、中国映画の購入のために10年間、毎年中国を訪れた。そのなかで「紅いコーリャン」、「古井戸」、「黄色い大地」など多くの作品がヒットした。
1977年から「中国映画祭」は毎年開かれていたが、“中国映画の全貌”は1989年から開催され、今年からオリオ商会が引き継いだ。いま流行の「韓流ドラマ」は徳間書店の後、在籍したワコー時代、鈴木さんたちが手掛けたのが始まりだ。
「草創期の中国映画は作品自体が貴重品であるだけでなく、質的に高い」と、映画畑一筋のベテランの評価だ。「多くの若い世代に観てもらい、中国の苦難の歴史をよく理解してもらいたいですね」と、期待を寄せている。(宣)