私と中国〈849〉
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日本吟道学院理事長室次長
古田 泰人さん
草の根の民間交流が一番大切 |
1942年、横浜市鶴見区に生まれ、空襲を逃れて両親の故郷・熊本市に疎開。どぶろく密造で手入れを受ける朝鮮半島出身の人びとと、由なく差別されていた集落の人の悲哀を、目の当たりにして成長する。
長じて、詩吟の普及を目的とする公益社団法人日本吟道学院に奉職。総務畑、機関誌編集等の役務を通じて、多くの人に詩吟の素晴らしさを伝えてきた。公認団体の代表者として、吟詠指導にも力を入れる。
詩吟の魅力?「世界的文学作品である中国漢詩を日本語に読み下して吟じることのできる幸せ。複式呼吸による発声でストレス解消し、生活をリセットして活気にあふれて前向きに生きる。漢詩だけでなく、暮らしの言葉で綴られた和歌、俳句、自由詩も進んで吟じ、若い人びとにも呼びかけています」と力説。
「安徽省・馬鞍山市の国際詩歌節への参加を契機に、学院と中国の交流が始まり、30年になります。馬鞍山市は、詩仙・李白終焉の地。1937年、南京に侵攻した日本軍が、揚子江を遡航し、馬鞍山・当※(※=さんずいに「余」)県に入城して、李白墓苑にも砲撃を加え、聖地を瓦礫の山としました。このことを知り、恥ずかしさと慙愧の念にかられた会員は、寄金を募り墓苑の修復に尽力しました」
「暴虐と殺戮で、罪もない中国の人びとの尊い命を奪ったこと、これを国民の一人としてお詫びし、赦しを乞うこと、これが日中友好の出発点です」と熱く語る。
「一番大切なことは、草の根の民間交流です。文京区でも文化交流を進めてゆきたい。アジア人の友だちを一人つくるところから、交流は始まります」と抱負を語る。(中嶋)