私と中国〈841〉
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NPO法人残留孤児の家・餃子工房代表
高橋 秀哉さん
届けたい 本場中国の味 |
中国残留孤児訴訟を闘った原告団は2009年1月、「NPO中国帰国者・日中友好の会」(池田澄江理事長)を東京・台東区で立ち上げた。事務所維持経費確保の一環として、「餃子工房」を開設、その責任者として活躍している。
「日本人が米を主食にするように、餃子は中国人の主食のひとつです。小さい時から慣れ親しんできたので作るのはお手の物です」と話す。「みんなで何回も試作品を作り、販売に耐えるものに仕上げました。中国本場の餃子を味わってもらいたい。無論、東京都衛生局の許可も受けています」と微笑んだ。
この工房の餃子は「豚肉・キャベツ」が中味、皮はすべて手作りだ。「12月は多忙でした。10人で1万2000個ぐらい作りましたかね。毎月このくらい忙しいといいのですが…。安くしたいけれど野菜が高くて…」と顔を曇らせる。
趣味を聞くと、「もっとたくさんの餃子を普及することかな」といたずらっぽく笑って見せた。
1944年(昭和19年)黒龍江省東寧で1歳半の時、父母と行き別れ、寧安県難民所で子どものいなかった養父母に引き取られた。1981年(昭和56年)に母の故郷埼玉県に帰国した。
落ち着いてから中国の養父母を引き取り、亡くなるまで面倒を見た。墓も中国に建てた。子ども3人も日本で暮らす。孫は5人。埼玉県中国帰国者の会「斎心会」の会長も勤める。(宣)