私と中国〈812〉
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龍谷大学教授
北川 秀樹さん
中国の植樹協力と友好 |
「現地に赴きフィールド調査し、地元政府の職員だけでなく現地の住民に直接話を聞くこと」、北川秀樹さん(57歳)が中国の環境問題を考えるうえで、大切にしていることだ。
京都府職員から大学教授に。転機は、地元の立場で支援した、97年の地球環境温暖化防止京都会議。環境保全が自分の天職だと確信した。
大学に移ることが決まってから、私的立場でも協力したいと思い、東アジアの環境改善を目的としたNPO「NPO法人環境保全ネットワーク京都」を設立。中国での植樹活動を主な事業としている。現在、京都でシンポジウムを準備中。
「環境に貢献しているという充足感と日中友好」、植樹活動から得たものを挙げる。
「中国の環境は局部的には改善しているものの、全体として悪化しているというのが実感です。経済発展のスピードが早すぎて、環境の改善が追いついていない。
また、地方政府のレベルで法執行がうまくいっていません。原因として、GDP優先の政府幹部の人事制度、財政制度、不十分な情報公開などがあると考えます」
日本側の協力のあり方では、次の問題点を挙げた。
「多くの協力団体、NGOは、国や企業・民間組織から資金を得ながら、それぞれ個別に協力をおこなっていますが、必ずしも情報が共有されていません。
国として効果的な協力をするためには、各組織の情報を共有し、連携を強化するための事業を展開すべきでしょう」
尖閣諸島事件では、その影響で企画していたツアーの受け入れを断られた。民間の立場から、このようなことに左右されないお互いの顔の見える、骨太の日中関係を築き上げる必要があると思っている。(東)