私と中国〈808〉
|
二胡奏者
小林 和生さん
ロックバンドから二胡へ |
昨年亡くなった人気絶頂のロック歌手・忌野清志郎(栗原清志)さんの幼馴染である。RCサクセションの結成メンバーで20数年ベースを弾いた。
忌野さんは、「泥だらけの海」「言論の自由」「明日なき世界」「君はLOVE ME TENNDERを聴いたか」など反戦や社会を風刺する歌もたくさん歌った。
忌野さんと高校が同期だった三浦友和氏(俳優)の仲介で「RCサクセションを再結成しようぜ」と話していた矢先の逝去だけに「無念だ」と唇をかむ。忌野さんの芸名は、小林さんの母・由季さんなどと談笑していた際に、「今際(いまわ)の際(きわ)」の語感をとって付けたものだという。
20年前、RCサクセションが休止状態になっていた頃、テレビで中国の二胡を初めて聞いた。自分がこれまで弾いてきたベースとは対極にあるようなメロディーの楽器で「鳥のさえずり、風のような音色の素晴らしさ」のとりこになった。
在日の中国二胡の第1級奏者、劉継紅さんの下で3年間修行。才能を認められ「中国で本格的に勉強してみないか」と誘われたが、諸事情で実現できなかった。
いまは仕事の傍ら、老人ホーム訪問や夏祭りなどにボランティアで参加している。東京・立川市の秋の大文化祭(琵琶会)には10年連続出場している。
「一度は中国へ、とくに蘇州に行ってみたい」と、二胡の本場への思いは深い。実父・博四さんは、故川尻泰司さんなどとともに、劇団プークを創立したひとりである。(大)