私と中国〈804〉
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桐里工房代表
稗田 正弘さん
中国で注目集めた 新デザイン桐家具 |
福岡県南西部、筑後平野の一角、佐賀県に隣接する大川市は、作曲家古賀政男氏の出身地として知られているが、日本一の家具の大生産地として有名である。
その歴史は約480年、戦国時代に遡る。天文6年(1537年)頃、榎津久米之介の伝播により桐箪笥を中心にした木工が始まった。
桐箪笥製造業者は、いまは11軒に激減したが、戦前は市の80%を占めていた。正弘さんは、大川の伝統的総桐箪笥製造を専門にした稗田家の3代目である。
在日中国人の知人の紹介で、南寧市(広西チワン族自治区)で開かれている「アセアン博覧会」に、09年初めて日本の新しいデザインの桐家具類を出品した。日本の伝統的技法とデザイン性に人気が集まり、大盛況だった。なかでも、天然桐無垢の囲炉裏テーブルと桐のイスのセットに大きな関心が集まった。
中国では、昔から火鍋といって鍋料理を楽しむ習慣があり、日本の桐の現代囲炉裏を家庭で使用したいとの願望が強いことに十分な手応えを感じた。
まだ本格的な中国進出は試みていないが、近い将来、日本の囲炉裏テーブルを囲んで、中国人が日本料理を楽しんでもらえる日を楽しみにしている。
この5月、東京表参道で初めて「個展」を開き、たくさんの人が来てくれ、製品への高い評価に一層の自信を深めている。(宣)