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私と中国〈799〉

 小原 輝三さん写真

写真集『向銭看時代』(文理閣刊)を出版
小原 輝三さん

 

「写真展も開きたい」と意欲的

 中国とのかかわりは1960年代、高校生のときに始まった、と語る小原さん。
 定期購読していた『人民中国』が、北京から直送されてくるのが楽しみだった。ごわごわの茶封筒には、毎月違った美しい切手が貼ってあった。
 1987年、京都の私立大学で事務職員として働いていた39歳の時、中国人研究者から中国語を学ぶ機会を得る。その後、南開大学への学生引率が決まり下見のため中国へ。
 鉄の塊のように重いカメラ2台とレンズ5本を持っての一人旅だった。初めての中国経験が面白くて50本のフィルムはほとんど使わずに持ち帰った。習い始めた中国語は使い物にならず散々だった。しかし、この旅行によって中国にはまってしまう。
 海外研修で中国滞在中、天安門事件が起こる。天安門広場で写真を撮っていると学生らから支援募金を求められるが、外国人として中国人学生にカンパはできず、フィルムを欲しがった女子学生にカラーフィルム2本を渡すのが精一杯だった。
 撮影したフィルムを2年前の定年退職を機に整理。日本の農村や中国内陸部の黄土高原の村を長く取材してきた写真家橋本紘二さんに編集を依頼し、ようやく出版にこぎつけた。
 世界経済危機にもかかわらず高度経済成長を続ける現代中国の原初ともいえるエネルギーが、1988年から1997年にかけて撮影されたこれらの写真のなかに現れていると思い、「向銭看時代」と書名を決めた。
 多くの人に見て欲しいので写真展も開きたい、と希望を話している。(S)
 
 ※小原輝三さんのホームページ

 

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