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私と中国〈797〉

 永井 正子さん写真

フリー編集者
永井 正子さん

 

『政策形成訴訟』の編集に尽力

 「主婦と生活社」勤務からフリーへと30数年の経歴を持つベテラン編集者である。これまで、主に文学書や骨董古美術書の編集のかたわら、安中公害裁判記録「安中」、じん肺裁判記録「ヤマの男たち」(いずれも弁護団発刊)などの刊行にも協力してきた。
 400ページに及ぶ『政策形成訴訟』は、昨年の秋、09年9月に弁護団の原稿が完成、11月5日に完成という「超スピード」の作業だった。その3日後に出発が計画されていた、「養父母に感謝する中国訪問の旅」に持参したいという強い希望があったからだ。編集者2人で何日も徹夜が続いた。それだけに、完成した喜びよりは「間に合った」という気持ちのほうが強かったという。
 幸い、温家宝首相に面談がかなった残留孤児の代表と弁護団によって、本書が手渡されるという幸運に恵まれた。
 この記録集は、弁護士、裁判官、法学者、法科院生、支援者が対象の、いわば「専門書」。難解な「法律用語」が随所にあふれている。「読みやすく、理解される」本の編集者ではあったが、本書にそれを求めることは至難の技。そこで、新聞記事や注釈、資料などを多用することで、一般の人にも読んでもらえるよう努めたという。
 表紙は熟慮のすえ、「満州の夕日の色」をイメージした「オレンジ」を基調にし、自らも残留孤児になりかけた、ちばてつや氏の原体験を描いた絵を添えることで硬い表題にも、少しは親近感が生まれたのではないかと思っている。
 将来の「中国残留孤児」問題の貴重な資料となるよう、書籍コード(ISBN)を取得し、国会図書館にも納めた。
 中国には行ったことがない。しかし、「残留孤児」の問題の本質を知るなかで、近い日に、残留孤児の悲劇を生み、また育んだ、中国の大地を訪れてみたいと思っている。(N)

 

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