私と中国〈796〉
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「江戸や鮨八」の経営者
早津 展久さん
中国の小学校に学用品を寄贈 |
東京中野区の「江戸や鮨八」で23年働くベテランの職人である。
02年、同店で働いていた中国福建省出身の留学生から、「中国は経済格差が大きく、私の郷里では学用品もままならない子どもがたくさんいる」という話を聞いた。
とっさに頭に浮かんだのは、自分とほぼ同年代の中国「残留日本人」孤児のこと。常日頃から「中国の人は敵国の子どもを引き取り育てた。なかなかできることではない」と思っていた。この話を聞いて「自分も何かできることを」と考え、学用品購入の募金活動を始めた。
以来8年間、「江戸や鮨八」に来る客に飲食のつり銭募金を呼びかけた。客は快く応じ、新たに募金もくれた。知人友人にも協力者がいた。1回10万円を目標に努力し、不足分は自分で負担し、総額は30万円になった。
送り先は、福建省武夷山市八一小学校。3回訪問し届けた。子どもたちの嬉しそうな表情や、校長や教師が熱い思いで「謝々!」を繰り返す姿を見て、「やってよかった」という喜びがふつふつと沸いてきた。
展久さんは「できるだけ長く続けたい。中野区内の小学校と武夷山小学校の文化交流ができたらと希望しています。日中友好はこうしたささいな国民交流が大事だとつくづく思いました」とほほ笑んだ。(お)