私と中国〈789〉
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中国人強制連行の事実を知った
渡辺 真知子さん
戦争の事実を次世代に伝えることが大切 |
北海道中国人強制連行事件の生存者である鳳儀萍さんらが協会本部を9月10日に表敬訪問した際、渡辺さんも都内から駆けつけました。
「2年間の過酷な生活を生き抜いた鳳さんに、お目にかかることができました。思ったより華奢な方で、周囲の方に守られての生還だったことに改めて気づきました」と語ります。
鳳さんの存在を知ったのは、旅行社のパンフレット。そのなかにあった『仲間に守られて僕は、地獄を生き抜いた』の本の紹介と「記録し、保存し、世の人々に知らしめよ。軍国主義日本がどのようにして私たちを迫害し、殺戮に及んだかを」の一文に感銘し、中国人殉難者全道慰霊祭実行委員会のメンバーで協会北海道連合会の鴫谷節夫理事長から、本を取り寄せたといいます。
1975年東京女子大学を卒業後、就職し結婚、出産。2003年に洗礼を受け、日本聖書神学校に入学。07年、同校3年次から東洋英和女学院大学大学院死生学領域にも進み、09年に同校、同大学院を修了しました。
神学校在学中に、『この事実を』…「南京大虐殺」生存者証言集や『この事実を…A』「南京」難民に仕えた宣教師証言集を翻訳し、中国愛徳基金会(ボランティア組織)の援助でこれらの本を中国で出版した加藤実牧師との出会いで平和への思い、史実を伝えていくことの大切さを知りました。
現在は都内の監獄人権センターで受刑者をサポートするボランティア活動に取り組んでいます。
「平和な社会をつくりあげていくには、戦争で起こったことを言語化し、次世代に伝えていくことが欠かせない。鳳さんが書いた証言録の刊行、普及には大きな意味と意義がある」と力を込めて語ります。(押)