私と中国〈788〉
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中国古書店 店主
亀井 博さん
「国定教科書」の道、許さないために
日中の近現代史を学ぶことが大切 |
5年前、小田急厚木駅前に「古書店」(さつき平和書房)を開業した、その目玉の一つが「中国関係コーナー」である。戦前、日本で出版された中国に関する専門書も多数ある。「同文書院」出の知人(故人)の家族から大量に譲り受けたものがその契機だったという。
35年間、法政大学女子高校で教鞭をとり、大学でも兼任講師として「社会科教育法」を教えた。その間、毎夏生徒を連れて「広島研究旅行」を20年間続けた。
被爆死した少女の日記『広島第一県女一年六組森脇瑤子の日記』(細川浩史氏と共編・平和文化)は、中学生社会科教科書『日本の歩みと世界の動き』(1995年刊・帝国書院)にも掲載され、NHKでも「夏服の少女たち」として放映。
実践記録としての『昭和史を学ぶ高校生たち』(1990年刊・平和文化)は、朝日新聞「天声人語」(1990年8月12日)でも紹介された。
元社会科教師として「本来現場の教師たちが選定すべき教科書が、偏見をもった学者たちに任され、歪んだ歴史教科書が出回りだしたのは許せない」と憤りを隠さない。「このままでは戦前の国定教科書と同じ道をたどるのでは…」と憂慮する。
中国に関しては「共産党だけしか存在しないのは『民主主義国家』ではないのではないか?」と理解している人が多いが、その歴史的経緯と社会的背景をしっかり学んで欲しい。そのためにも「日本と中国の近現代史」の学習の大切さを強調する。
兄健三氏(故人)は「ちぎり絵」作家として有名。北京で「中日紙画聨展」(1996年9月)を開催し、日中文化交流に貢献した。健三氏は協会米子支部長も勤めた。(お)