私と中国〈778〉
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生涯学習で能面作りを指導
鈴木 庄治さん
能面作りは模写の究極 |
東京・北支部の会員で東京都連合会理事の鈴木庄治さんが、3月30日から4月5日まで毎日新聞社東京本社のアートサロンで能面展を開催。般若、翁、痩男、少尉、節木増、孫次郎、若女など、表情豊かな40面が観客を神秘な能の世界に誘っていました。
能面との出会いは30歳くらいのとき。都内の銀行で偶然見た女面「若女」のカレンダーに衝撃を受けました。以来、その思いをあたため、58歳で能志会に入門。山芳満先生に師事し、5年半教室に通いました。
その後、独自の制作活動を続けていくなかで「自己流はダメ、基本が大事」だと開眼。現在は制作のかたわら東京都北区生涯学習の能面教室で月2回、8人の生徒さんに教えています。
檜で作った能面は約150面。作品はすべて室町時代の能面を忠実に再現したもの。実物や写真などで原型を丹念に観察したあと、型を起こすところから始まります。
「能面はうつむいたりあごを上げたりすると表情は途端に変わる。頬の肉のつき方、眼球の傾斜の角度、コントラストなど細部に至るまで見ます。女面の場合は、面によって毛書きが違う。だから能面作りは模写の究極。気に食わなければ何度でも作り直します。やればやるほど奥が深い」と、嬉しそうに語ります。
6月には北区生涯学習の発表会で生徒とともに作品を出品する予定。「完成すると、なんともいえない満足感が得られる」。能面作りのあくなき探求は続きます。1933年生まれ、山形県鶴岡市出身。
(押)