私と中国〈773〉
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中国人強制連行事件
全国弁護団事務局長
犀川(さいかわ) 治(おさむ)さん
世論の力で早期に全面解決を |
1998年弁護士になって、最初に手がけたのが「劉連仁訴訟」。以来一貫して「中国人強制連行事件」に関わってきた。今も、長野・宮崎・群馬・山形・福岡の裁判が続いている。強制連行訴訟は、07年に出た「西松建設事件」の最高裁判決で大きな転機を迎えた。
この判決は敗訴だったが、他方で事件の事実を明確に認め、国と企業が、「被害の救済に向けた努力をすることを期待する」と述べ、問題解決の方向を示唆している。
「最高裁を含めすべての裁判所が、事件の事実を認めていることは大きな成果です」と力を込める。同時に「メディアが大きく取り上げないので世論喚起が難しい」とも。
国は、解決ずみの姿勢を崩さないが、国会議員の多くは理解を示し、企業も足並みが揃えば「基金方式」(ドイツの例)の解決に協力する態度を示している。
「被害者は高齢です。早期の全面解決が望まれます。そのためにも、国民世論を高めることが急務、ぜひパンフを広げてください」と強調する。
5年前に自分の事務所を立ち上げた。多忙を極めるなかでの弁護団事務局長だが、41歳の若さ、疲れを感じさせない。東京のど真ん中、湯島の生まれ。趣味は「お祭りのみこし担ぎ」。これも元気の元になっているようだ。(お)
※パンフ「中国人強制連行」は1冊50円。申し込みは、中国人戦争被害者を支える会。
電話03―5379―2607、FAX03―5379―2608