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私と中国〈763〉

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朝日新聞編集委員
大久保真紀さん

 

「孤児」のテーマはこれからも大切に

 「日本社会に溶け込めず、引きこもりがちだった一人一人の『孤児』たちが、互いに横のつながりを作り、自ら行動し始めた。実はこのことが最大の成果なのでは」
 20年以上にわたり、中国「残留孤児」「残留婦人」問題を取材。全国各地で裁判に立ち上がった彼らの闘いをこう振り返ります。
 新聞記者を志していた大学時代から関心を持ち、1987年から朝日新聞の記者に。90年、中国での「残留婦人」への取材で、貧困の中、望郷の思いを胸に暮らす彼女たちの実態を目の当たりにします。
 「事実を知った者として、書いていかなければ」――社会の関心が薄い時期が続いても、新聞記者としてひとつのテーマを続けて担当できるわけではない条件のもとでも、こつこつと取材を積み重ね、政策の問題点を明らかにしてきました。
 今年、「孤児」に対する政府の新しい支援策が実施され、長年の取材も一つの節目に。
 「弁護団、支援者の役割はもちろん重要ですが、2000人の原告たちが最後まで団結を崩さなかったことが大きかった。新支援策は100パーセント完璧なものではないけれど、未来につながる出発点。私自身は彼らの取材を通じて鍛えられてきた。記者としてこれからもこのテーマを大切にしていきたい」と、現在の思いを語ります。
 『ああ わが祖国よ―国を訴えた中国残留日本人孤児たち』(八朔社、04年)、『中国残留日本人―「棄民」の経過と、帰国後の苦難』(高文研、06年)など著書多数。福岡県出身。
(Z)

 

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