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HOME > 日中友好新聞 > 2017年11月15日号

日中友好新聞

第19回中国共産党大会
習近平氏に権力集中
「新時代」は何をめざす?
藤本 隆


shinbun

中国共産党大会の開幕式=2017年10月18日、北京の人民大会堂(写真はすべて藤本氏提供)



 第19回中国共産党大会が10月18~24日、北京で開かれました。5年に1度開かれる党大会は、8900万人の党員を有する中国共産党の最高意思決定機関。中国全土から選ばれた2800人の代表が今後の方針などについて議論しました。



規約に習氏の名前明記

 大会は、党規約の改正を決め、習近平総書記(国家主席)の名前を冠した「習近平〝新時代の中国の特色ある社会主義〟思想」を、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、「三つの代表」重要思想、科学的発展観と共に、党の「行動指針」に盛り込みました。
 指導者個人の名前が付いた理念が党規約に明記されるのは、毛沢東、鄧小平以来です。
 大会終了後、25日の第1回中央委員会総会は、習氏(64)を総書記に再任。
 最高指導部である党政治局常務委員には、再任の習、李克強(りこくきょう)(62)、新任の栗戦書(りつせんしょ)(67)、汪洋(おうよう)(62)、王滬寧(おうこねい)(62)、趙楽際(ちょうらくさい)(60)、韓正(かんせい)(63)の7氏が選ばれました。
 最高指導部入りが有力視されていた胡春華(こしゅんか)氏(54)や陳敏爾(ちんびんじ)氏(57)ら次世代の指導者候補は選出されず。
 後継者を最高指導部内で経験を積ませる慣例が崩れたことで、習氏が今後も長期にわたって権力を維持するとの憶測も出ています。
 25人の政治局委員は、15人が新任と大幅に入れ替わりました。香港メディアは、25人のうち11人が習氏の地方勤務時代の元部下や同郷など関係が深い人物だと伝えました。
 10月26日付の党機関紙・人民日報は、1面の中央に習氏の巨大な顔写真を掲載。他の6人の常務委員の顔写真は3面に回され、習氏の突出した地位が浮き彫りになりました。
 大会期間中は北京市内の公園に習氏を称える歌を歌う集団も現れました。このような状況について、中国共産党史に詳しいある北京大学教授は「個人崇拝につながりかねない。誰も意見を言えなくなり、もしトップが方針や政策を間違えれば、ただすことができなくなる」と強く懸念します。



社会主義現代化強国へ

shinbun

記者らにあいさつする中国共産党の新最高指導部。
左から韓正、王滬寧、栗戦書、習近平、李克強、汪洋、趙楽際の各氏
(10月25日、北京の人民大会堂)


 5年間で権力を固めた習氏は何をめざすのでしょうか。習氏は大会初日、10月18日の中央委員会報告の中で、「中華民族の偉大な復興」をめざす「新時代」の新思想を示し、30年の長期ビジョンを明らかにしました。
 報告は、2020年に「小康(ややゆとりある)社会」を全面的に実現し、35年までに「社会主義現代化」を基本的に完成させると宣言。さらに、2049年の中華人民共和国建国100周年までに、「社会主義現代化強国」を築き上げるとしました。
 この「強国」は、トップレベルの総合国力と国際的影響力を有した国で、「共同富裕」が実現し、「中華民族が意気高く世界の中にそびえ立っている」といいます。

全分野で党の指導強化

 習氏は「強国」実現のため、あらゆる分野での党の指導を強めると強調。思想宣伝を強め、インターネット規制、宗教や知識層への管理強化も打ち出しました。「外国の政治制度モデルを機械的に当てはめることはできない」とし、欧米式の民主主義の導入を否定しました。
 また、党そのものを強化するため、反腐敗闘争など厳しい党内管理を引き続き維持すると表明。法にもとづく国家的な反腐敗を進めるとしました。
 外交では、南シナ海の島しょ建設を成果だと誇り、自らの国益で妥協しない姿勢を強調。軍隊強化を進め、2049年までに「世界一流」の軍隊をつくると宣言しました。
 「強国」をめざす中国が、内外でどのような姿勢を示すのか、しっかり見ていく必要があります。

(ジャーナリスト・北京在住)



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