日中友好新聞
特別展
江戸と北京
―18世紀の都市と暮らし―
似てて、違って、おもしろい。
「特別展 江戸と北京」はすでに終了しました。
上「熈代勝覧」江戸時代・1805(文化2)年頃 ベルリン国立アジア美術館蔵
下「乾隆八旬万寿慶典図巻」清時代・1797(嘉慶2)年、故宮博物院蔵
東京都江戸東京博物館(東京都墨田区)では2月18日から4月9日(日)まで特別展「江戸と北京―18世紀の都市と暮らし―」を開催しています。18世紀(中国では清の時代)を中心に江戸と北京の成り立ちや生活、文化を展観し、北京の都市生活を江戸と比較する企画は今回が初めて。
中国の博物館との交流
江戸東京博物館は02年から北京の首都博物館、瀋陽故宮博物院などとシンポジウムなどを通して交流を続け、今回その一環として、首都博物館との共同プロジェクトを企画、開催に至りました。
学芸員の江里口友子さんは「日本人と中国人は同じ文化圏。例えば端午の節句などの年中行事は似ている。でも日本でアレンジされて変わってきている。だから『似てて、違って、おもしろい。』展示を通して両都市の共通性と差異を知り、お互いを理解し、親しみをもってもらえたら」と語ります。
来年は、同展を北京で開催する予定です。
江戸・北京、絵巻競演
作品は全部で185件。そのうち首都博物館・故宮博物院の、一級文物を含む116件は日本で初公開。
見どころは3件の絵巻。康熙帝(清朝第4代の皇帝)60歳の式典を描いた記録書物「万寿盛典(ばんじゅせいてん)」(1717年、首都博物館蔵)は、41巻に描かれた大通り脇の横道の入り口に設けられた防犯用の木戸や、武器を備えた番小屋は江戸と共通し、また、店の看板や、店先に並べられた商品、庶民の暮らしぶりなど北京の当時の風景をうかがい知ることができます。
また、乾隆(けんりゅう)帝(同第6代の皇帝)80歳の祝典を色鮮やかに描いた「乾隆八旬万寿慶典図巻(けんりゅうはちじゅんばんじゅけいてんずかん)」(1797年、故宮博物院蔵)は国外初公開。
園林の離宮から西直門を経て城内に入り、紫禁城西華門に至る祝賀行列を沿道に設けられた舞台や飾り物、行列の見物に訪れた人びとなどとともに鮮やかに描き出し、見る者の目を楽しませます。
ベルリン国立アジア美術館からの展示「熈代勝覧(きだいしょうらん)」(1805年)は3回目の里帰りで、日本公開は11年ぶり。活気に満ちた江戸の日本橋を東側から俯瞰(ふかん)し、商家が続く町並みと人びとで賑わう全長約12㍍の絵巻です。
さらに画面に描かれた当時の看板や商売の道具なども合わせて展示して、江戸の風景を立体的に展観します。
「万寿盛典」(康煕六旬万寿盛典図)清時代・1717(康煕56)年 首都博物館蔵
生活・文化を比較展示
「住まう」「商う」「装う」「育てる」「学ぶ」「歳時」のテーマに分けて日本と中国の看板や生活道具、衣装、装身具などの実物資料や、当時のさまざまな職業を描いた図、模型なども、似ているようで違っている江戸と北京の生活と文化を対照することができます。
清代北京の芸術文化
緻密で華麗な北京の宮廷芸術や江戸の知識人が憧れた北京の文人文化のほか、民間の工芸品および優れた職人の技を、首都博物館の多彩なコレクションをもとに紹介。
なかでも、直径72・5㌢の景徳鎮窯「青花御窯廠図瓷板(せいかぎょようしょうずじばん)」(清・道光年間1821から50年、首都博物館蔵)は景徳鎮の官窯工房と磁器の製造工程、町並み、周辺の山川などが詳細に描かれ、清代の風俗や陶磁史を示す貴重な資料です。
また、1731年に長崎に渡り写生的画法を伝え、日本の画壇に大きな影響を与えた沈銓(ちんせん)の「芝鹿図軸」(1740年、首都博物館蔵)を展示、後の宋紫石らによる江戸への伝播も紹介します。これらの中国作品は、いずれも日本初公開です。
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インフォメーション
特別展「江戸と北京」
会期=2月18日~4月9日(日)午前9時30分~午後5時30分(土曜日は午後7時30分まで)、休館日は毎週月曜日(3月20日は開館、21日は休館)
会場=江戸東京博物館1階特別展示室(東京都墨田区横網1~4~1)?03(3626)9974(代表)
アクセス=JR総武線「両国」駅西口3分、都営地下鉄大江戸線「両国」駅A3・4出口1分
観覧料=1400円(一般)、1120円(大学・専門学生)、700円(小学生・中学生・高校生・65歳以上)