日中友好新聞
「爆買い」から「体験型」へ
中国人来日が最高記録
三保の松原を背景に記念撮影する中国人旅行者(日中平和観光訪日部提供)
中国人の訪日ブームが続き、春節休暇(1月27日から1週間)中、日本の観光地はどこも中国からのお客でにぎわいました。昨年1年間の統計でも来日した中国人は637万人余りと過去最高を記録。
一方、これらの人びとの最近の傾向は、従来目立った「爆買い」が減り見聞中心の「体験型」が増えていること。これは、中国の人びとにとって、ありのままの日本を知り、生身の日本人に接する絶好のチャンス。日中の相互理解増進や「草の根」民間交流の土台拡大にもつながります。
観光業界関係者は語る
「爆買い」が減り、「体験型」が増えていることについて、外国人宿泊客が多い東京都内のホテル職員の中瀬倫太郎さんは、次のように語りました。
「以前に比べて、両手に炊飯器の箱を抱えている中国人客は少なくなったと感じます。
富士山観光でも、以前は御殿場のアウトレットでの買い物のついでにというお客が多かったのですが、最近は直接、富士山の五合目までバスで向かうお客が増えています」
藤田観光広報の北原さんも、同社が運営する箱根ホテル小涌園の例をあげ、「団体ではなく個人で訪れる旅行者が増えています。昨年1月~2月は訪日外国人のうち団体客が6割だったのが、今年は同時期で個人旅行客が6割になり、その数が逆転しています」と語ります。
東京の浅草文化観光センターも、浅草(せんそう)寺が仏教大国の中華圏の観光客、とくに初めて東京を訪れる中国人観光客の人気スポットになっていることをあげ、「浴衣や着物を体験するお客が多い」と述べています。
中国人観光客の感想
初めて来日した中国人2人の感想(日中平和観光の訪日部提供)を紹介します。
広州(広東省の省都)から、妻と1人の子ども、妻の両親と合わせ一行5人で来日し、東京で春節を過ごした盧文平さん(47歳)は、次のように語りました。
「私たちは、これまで欧米の大都市を訪れたことがありますが、それらと比べても、東京は清潔で秩序があり、人びとは礼儀正しく、乗り物の中も静かで、たいへん良い気分でした。皇居、銀座、東京タワーなどを見学しました。銀座では、外国人向けの売り場がにぎわっていましたが、私たちは買い物にはあまり関心がなく、銀座の繁栄を体験しただけでした。
私たちは、いっそう多くの体験をして、日本の社会に接し、よい思い出をつくりたい。次の機会には、東京以外の都市を遊覧したいと思います」
成都(四川省の省都)から友人と2人で来日した甘龍飛さん(28歳)。
「私たちは10日余りの日本滞在中、東京、富士山、京都、大阪、奈良などを訪れました。白い帽子をかぶった冬の富士山の絶景は私たちの心を満たしてくれました。
日本が私たちに与えた最も深い印象は、どこも秩序整然としていること。ゴミの回収、精密な列車の運行、規則正しい住宅の配置などは高度の社会的協調を示しており、これらは私たちが学び、活用することができるものです」
政府観光局の統計
日本政府観光局(JNTO)は1月17日、昨年の来日外国人が2403万9000人(前年比21・8%増)で、JNTOが統計をとり始めた1964年以来最多となったと発表。
うち中国からの来日は、637万3000人(前年比27・6%増)で、過去最高を記録。初めて年間600万の大台を超えました(従来の最高は、15年の499万3689人)。
中国人の来日は、個人旅行およびクルーズによる需要の高まりと、航空路線の整備を背景に年間を通して毎月40万人以上。とくに7月は単月で初めて70万人を記録しました。
台湾、香港からの来日も過去最高を記録。台湾からは、416万7400人(同13・3%増)で、初めて年間400万人を突破(従来の最高は15年の367万7075人)、香港からは、183万9200人(同20・7%増)でした(過去最高は15年の152万4292人)。
一方、来日客の消費額の国・地域別では、中国人が1兆4754億円で、来日客全体のほぼ4割を占め、引き続きトップ。しかし、中国人1人当たり平均消費額は23万1504円で前年比18・4%減。「爆買い」の失速を裏付けました。
中国では昨年、海外土産品の関税引き上げ、ネット商品購入の広がりなどもあって、日本での消費減になったと見られています。