日中友好新聞
中国屈指の名品が来日!
東京で「上海博物館との共演」
左は青花唐草文高足碗(中国景徳鎮官窯「大明宣徳年製」銘、明時代・宣徳年間〔1426~35〕東京国立博物館蔵)、右は青花蓮龍文碗(中国景徳鎮官窯 明時代・正徳年間〔1506~21〕上海博物館蔵)上記、陶磁器2点の展示期間は2017年2月26日(日)まで
東京国立博物館・東洋館は来年2月26日まで「特集 上海博物館との競演」を開催しています。
この展覧会では、上海博物館が所蔵する中国の陶磁器、染織品、青銅器、仏像、家具の名品55件の展示のほか、東京国立博物館の作品126件(寄託品含む)との夢のコラボが実現しました。
今回の展示に至った経緯、日中両博物館の交流、作品の見どころや特徴などを紹介します。
互いに縁が深まり実現
両博物館の交流は、1993年に東京国立博物館の「上海博物館展」を契機に、2010年に上海博物館で「千年丹青 日本・中国珍蔵唐宋元絵画精品展」を、13年に東京国立博物館で「上海博物館 中国絵画の至宝展」を相互に開催。また両博物館で友好協定を結び毎年、研究者による学術交流も盛んに行なわれ、良好な友好関係を築いています。
マネジメントを担当した猪熊兼樹さん(学芸企画部企画課出版企画室主任研究員)は、「今までは絵画、書などの展覧会が多く、今回のように工芸品(家具や陶磁器、青銅器、染織品)や仏像などの展示は、新たな分野。今回は、日本に現存する収蔵品を東京国立博物館から、日本にはない名品を上海博物館から出品し、『競演』させることで、お互いに欠けている部分を補う、『補完』の展覧会」と説明します。
広報室の宮尾美奈子さんは「最近は中国からのお客様も増えています」と中国人の関心の高さを指摘します。
上海博物館とは?
上海博物館(上海市黄浦区)は1952年創立、12万件にのぼる極めて質の高いコレクションを所蔵し、北京の故宮博物館、南京博物館とともに中国三大博物館の一つ。常設展示は青銅器・陶磁器・書跡・絵画・彫刻・印章・玉器・家具・貨幣・少数民族の10部門から構成され、国内外から多くの観覧者が訪れます。
展示の見どころは?
東洋館1室には東京国立博物館の品目のほか上海博物館の仏像8件を展示。世界的に有名な菩薩像や如来像が来日、北斉時代から遼時代の石造、銅造、金銅製の作品が中心で、充実しています。
5室では、陶磁器12件と青銅器10件、染織品1件が上海博物館の作品。特筆すべきは陶磁器の「青花蓮龍文碗」(明時代・上海博物館蔵)と「青花唐草文高足碗」(明時代・東京国立博物館蔵)。生産技術が頂点に達した明時代の景徳鎮窯は逸品です。
また、青銅器コーナーにある「七牛貯貝器」(前漢時代・上海博物館蔵)は、貨幣として用いられていた貝を納める器で、上に飾られた七頭の牛の精巧な造りが見どころです。
さらに、寺院の壁を飾るために制作されたと考えられる「刺繍龍八宝唐草文様壁掛」(元~明時代)は縦194㌢、横335㌢と圧巻。中央には五爪の龍が肉太の金糸で刺繍され、その美しさに目を奪われます。上海博物館でも展示したことのない、珍しい作品です。
8室には、紫檀の机や椅子など、上海博物館が誇る中国家具コレクションのなかでも選りすぐりの4件を展示。深い色調の紫檀材に緻密な彫刻を施した代表的な中国家具を見ることができます。
また、絵画と見まごう「(こくし)仙人図壁掛」(明時代)「花鳥図壁掛」(清時代)は、いずれも織物。「仙人図壁掛」は乾隆帝も鑑賞した名品です(8室の織物は10月23日までの展示)。
13室には10月23日まで花鳥画や人物山水画を織物や刺繍で表現した細密な「染織絵画」や華麗な清時代の宮廷服飾品など計13件を展示しています。
日中両博物館の思い
上海博物館館長の楊志剛さんは、「この展覧会を通じて日本国民の中国文化理解増進と、中日両国の友好的な交流の促進を願う」とのメッセージを寄せています。
また、東京国立博物館館長の銭谷眞美さんは「中国の文化に対する理解が深まり、上海をより身近に感じる機会としていただければ」と期待しています。
芸術の秋に東京国立博物官へ中国の名品鑑賞に出かけてみませんか? (押)
(上表中の☆は記事に登場する時代)
インフォメーション
▽とき=~2017年2月26日(日)
▽開館時間=午前9時30分~午後5時(会期中の金・土曜日は午後8時まで、
入館は閉館の30分前まで
▽休館日=月曜日
▽ところ=東京国立博物館東洋館1・5・8・13室(上野公園内)
▽観覧料=一般620円(520円)、大学生410円(310円)、( )内は20人以上の団体料金、
高校生以下および満18歳未満と満70歳以上は無料。
▽問い合わせ=?03(5777)8600(ハローダイヤル)
▽http://www.tnm.jp/