日中友好新聞
不再戦・世界平和の歌声を内外に
どこでも感動の渦
3つの合唱団が活躍
「悪魔の飽食合唱団」「紫金草合唱団」「再生の大地合唱団」。それぞれ「731部隊の蛮行」、「南京大虐殺」、「撫順戦犯管理所での人道的扱い」を主テーマにしたこの3つの合唱団は日本各地のほか、中国その他の国にも公演活動を広げ、歌声を通して「日中不再戦・平和」を訴えています。これらの合唱団には日中友好協会の会員も加わり、各地の公演では、連合会や支部が積極的に協力、公演の成功のために頑張っています。各合唱団の活動を紹介します。
ハルビン人民政府と侵華日軍第731部隊罪証記念館の招待で
271人が訪中して公演(ハルビン音楽ホール 2015年9月24日)
「悪魔の宝飾」を歌う全国合唱団
1990年、日中友好協会創立40周年記念コンサートで混声合唱組曲「悪魔の飽食」(森村誠一原詩、神戸市役所センター合唱団、池辺晋一郎編詩・作曲)を歌うことが決まり、合唱団員64人が集まりました。日本人の作品で、世界へ平和のメッセージを発信できる作品として「悪魔の飽食」は、探し求めていた曲そのものでした。
その後、東京・神戸の2カ所でオーケストラとの共演を実現させ、合唱団員は1カ所200人以上、そしてそれぞれ2000人以上聴衆を集めて大成功させ、日本全国47都道府県のすべてで演奏しようということに。
あれから26年、全国縦断コンサートを編み出し、今年4月に開催した福岡公演は26回目、続く愛知、富山を入れると28回。その他、中国3回、韓国2回、ヨーロッパ(ポーランド・チェコ)1回、そしてロシア(モスクワ・サンクトペテルブルグ)1回と計7回の海外公演も展開。主に731部隊の被害国です。
731部隊は、中国東北部ハルビンを本拠地にして中国人ら約3000人を生体実験し細菌作戦を展開しました。
全曲演奏の本番指揮はすべて作曲者本人の池辺晋一郎氏。第2部のトークショーでは作家の森村誠一氏が必ず参加するという日本では稀有な全国公演に発展しています。
(持永伯子・「悪魔の飽食」全国縦断コンサートプロデューサー)
紫金草合唱団
紫金草合唱団第3次南京公演(南京市民と共に)2003年
南京は、1937年12月、日本軍が同市攻略戦のさい、20万人もの中国人を虐殺した都市です。事件と南京郊外の紫金山から持ち帰りまき広めた花をテーマに創作した「紫金草物語」(作構成大門高子 作曲大西進 編曲山下和子)を歌う合唱団です。2001年、200人で取り組んだ第一回南京公演をきっかけに全国にこの歌を中心に歌う紫金草合唱団が全国に立ち上がり(関西、奈良、金沢、東京、東京・府中、宮城など)紫金草ネットワークが組織され歌い続けられています。
沖縄、北海道大学、立命館大学や大阪NHKホールなど全国各地で数百回、11回の海外公演に取り組み、市民や若者と草の根の交流をはかってきました(南京、北京、上海、ニューヨーク、台湾)。オーケストラでも公演「歌がすき 花がすき 平和がすき」を合言葉に、さまざまな人たちが参加。中国南京では「紫金草行動」としてさまざまな取り組みが行われ、今や「紫金草」の花は中国の人たちにも愛される日中友好と平和の象徴の花となっています。
来春4月4日前後に12次南京公演の予定。
(大門高子・11次海外公演団長)
再生の大地合唱団
北京・国家新聞出版広電総局ホールにて
平和と日中友好を願う第二弾として創作した12曲の合唱朗読構成詩(作構成大門高子 作曲安藤由布樹)。
戦後シベリアに抑留された60万人の日本人のうち約1000人が戦犯として中国撫順に収容され、管理所での人道的処遇のなかで侵略戦争を反省し、帰国後、中国帰還者連絡会を組織して、平和・友好活動を行なってきました。「再生の大地」は職員との6年間の交流の中で葛藤を超え友情を育んだ実話を元に合唱と朗読に構成したものです。
合唱団は、何度か撫順も訪れ戦犯管理所などで演奏と交流を続けてきました。東京や都下の府中市を中心に広島、神奈川などの団員と共に練習を積み上げ撫順の奇蹟を受け継ぐ会、日中友好協会、中国大使館などの賛同を得て各地や中国大使館、大学などで演奏してきました。
2015年夏には北京の中国国際放送局主催で国家新聞出版広電総局ホールで公演し、マスコミにも大きく取り上げられて大きな関心を呼びました。今夏には瀋陽の東北大学での訪中公演を予定。
目覚めの花アサガオをテーマに、中国の人びとと交流しながら、活動を進めています。
(姫田光義合唱団団長・撫順の奇蹟を受け継ぐ会代表)