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HOME > 日中友好新聞 > 2016年6月15日号

日中友好新聞

中国人強制連行・強制労働事件
全面解決の運動に大きな前進
三菱マテリアルとの和解成立


 

shinbun

和解解決後に記者会見する被害者たち(6月1日付「中国新聞ネット)   



 6月1日、中国・北京で中国人強制連行・強制労働事件の被害者と三菱マテリアル(旧三菱鉱業)の間で「和解合意書」の調印が行われ、和解が成立。これは裁判の終結後、西松建設との和解成立に続くものであり、これからの全面解決の運動を大きく前進させるものと言えます。

人権侵害の強制連行・強制労働

 この事件は、アジア太平洋戦争の末期に働き手を戦場に送ったための労働力不足を補うために中国人を連行して、日本各地の炭鉱、鉱山、港湾荷役、土木工事などで使役したものです。その数はおよそ4万人。国民党軍や八路軍の捕虜もいましたが、多くは旧日本軍の武力で農民を連行した人間狩りによるものでした。塘沽や青島の港から門司、下関の港に移送されますが、食事も水もろくに支給されず、全国135カ所の事業現場到着時にはほとんど働ける状態ではありませんでした。
 三菱鉱業では3765人を北海道、九州などの炭鉱、鉱山で使役しました。そして日本人監督の暴力の下で連日の重労働を強いられ、食事もの混じった饅頭が毎食2~3個だけ、防寒具もない劣悪な待遇で、1年も経たずに722人(移送中も含む)が命を失っています。企業は中国人に賃金は払わず、戦後、中国人を使うことで損害を受けたとして政府から多額の補償金まで獲得しています。

裁判のたたかいの成果

 戦後50年を経て、北海道の山中で13年にもわたる逃亡生活で生き残った劉連仁さんを先駆として、被害者たちが日本で謝罪と補償を求めて提訴。三菱鉱山の被害者たちは札幌、東京、福岡、長崎、宮崎の裁判所に提訴し、10年に及ぶ長いたたかいを各地の弁護団、支援団体とともに取り組みました。
 最終的には日中共同声明による「請求権放棄論」で請求は棄却されますが、強制連行・強制労働の事実を認めさせ、関係者間における解決を促す「付言」も付けさせました。
 このような裁判での成果が2010年の西松建設、今回の三菱マテリアル和解へと実を結びました。


画期的な和解成立

 今回の和解は、当該企業の被害者全員の解決、歴史的な責任を認め深甚な謝罪、基金を設立して1人当たり10万元(1元は約17円)の配付、記念碑建立を主な内容とするものです。これは被害者・遺族の要求にも沿うもので画期的です。日本政府や多くの加害企業が解決に向き合おうとしないなかで、被害者の代表が「三菱マテリアルが歴史的事実を認め、公開謝罪する姿勢を誠意あるものとして評価する」という声明を出しています。

全面解決をめざして

 いま京都・大江山事件(日本冶金)、愛知・大府事件(岩田地崎建設)など各地で加害企業へ解決要求を続けています。  私たちは、加害企業へ人間の尊厳を侵した責任を果たすことを求めていきます。日本政府に対しては、閣議決定による国策としての強制連行・強制労働事件ですから、「解決済み論」など持ち出さず全面解決のために主導的な役割を果たすことを求めていきます。

(澁谷廣和=中国人強制連行事件解決をめざす全国連絡会事務局代表)


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