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日中友好新聞

自らの感動を見事に表現
第48回きりえコンクール
前田尋


 

shinbun

最優秀作 徳川園・龍仙湖の鯉 加藤文代  



 全国きりえコンクールの審査員を長年務めて、近年亡くなったきりえの創始者たち3人、加藤義明氏は、中国剪紙と出合い、人物画のデッサンをきりえに置き換えました。
 吉原澄悦氏は棟方志功の作品を見たことから、紙を彫り始め、「きりえの面白さは、その不自由さが作り出す」と言っています。
 滝平二郎氏は、木版画から転じ、「細工物としての側面を重視しない、不自由な制約を逆手に切ることで表せる絵画様式」と、いずれもきりえの本質を語っています。

大人の部、69点の出品

 さて、今年の全国きりえコンクールは、48回目を迎え、大人の部は42人の69点(初出品者5人)で審査が行われました。地域的には、青森、秋田、山形、長野、岐阜、愛知、滋賀、大阪、和歌山、岡山、福岡の11府県からの応募で、山形からは初めての出品でした。
 移転したばかりの日中友好協会本部の会議室と事務室を使って、全作品を並べ、入選作を選出することから始めました。この1年の成果でしょう。さまざまな思いで感動を得たテーマが、きりえの特質を生かし見事に作品化されています。
 約半数を入選とし、そのなかから4点を佳作、11点を優秀作に、さらに最優秀作と日中友好協会会長賞を選び出しました。


最優秀作「鯉と子ども」

 最優秀作となった加藤文代さんの「徳川園・龍仙湖の鯉」。少し高い位置から池に浮かぶ鯉と遊ぶ子ども2人を描いたもの、縦長の構図はゆったりとして静かな園庭のひと時を思わせます。
 会長賞、佐原重義さんの「ばあちゃん、がんばってーっ」。体育館での卓球大会。男女ペアでのダブルス戦、子や孫の応援を得てばあちゃんのスマッシュが放たれた瞬間、人物の動きが端々まで工夫され楽しい。

多彩なテーマ、優秀作

 優秀作には、早瀬ふさこさん「タカラジェンヌの休日」。歩道を買い物して帰るタカラジェンヌにジャンプしてアピールするファンたち、組み合わせの妙。
 桜井久美子さん「ほら見て!」。外国に住む孫が、フラミンゴを目にして作者に見せようと振り返るポーズが可愛い。
 宮下紀代美さん「田舎の夏休み」。力強いヒマワリ、点景の母と子が生きている。
 竹内宜子さん「場所XⅦ。シリーズ作品、ほとんど単色で住宅街の一角を白黒の対比鋭く描いている。
 藤井恵美子さん「COFFEE-KAN」。喫茶店の入り口を赤と黒でスッキリと、きりえでなければ描けないまとめ方といえる。
 安藤一代さん「スケッチする人」。橋の下から川沿いに伸びる町並みを描く人を入れ表現。
 黒田峰子さん「盛夏の風情」。大きな金魚鉢と朝顔、白黒でくっきり描いた中に赤い金魚が明解に。
 西和田典子さん「歓喜」。ザクロを手に2人の子どもを抱く鬼子母神像か、しっかりした描線は安定して笑顔も明るい。
 棚田由美子さん「尾瀬を歩く」。水芭蕉咲く木道を行くハイカーとボッカ、手前の人物の位置がやや難と思う。

全体的に高い水準

 全体的な傾向として水準は高く、白黒作品が少なく、一方で写真を応用したものが多くありました。描くことによってしか表現の感動は得られないと思います。スケッチやデッサンをおろそかにしてはならないと思いました。

(きりえ委員会委員長)



第48回全国きりえコンクール
秀作きりえ展のご案内
▽会期=2016年5月18日(水)~22日(日)
正午~19時(最終日は16時まで)
▽会場=千駄木空間
   

東京都文京区千駄木2―49―8(東京メトロ千代田線千駄木駅1番出口5分、東京メトロ千代田線根津駅1番出口7分、JR山手線日暮里駅12分)

Web:http//www.sendagi-kukan.com/

▽主催・問い合わせ=日本中国友好協会
電話 03(5839)2140



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