日中友好協会(日本中国友好協会)

日本中国友好協会
〒101-0065
東京都千代田区西神田2-4-1 東方学会ビル3F
Tel:03(3234)4700
Fax:03(3234)4703

HOME > 日中友好新聞 > 2016年1月5日号

日中友好新聞

美味珍肴な中華料理
日本には遣隋使・遣唐使が伝える
横浜で曽德深さんに聞く


 

shinbun

曽德深さん


 日本国民に広く愛され、私たちの食生活に欠かせない「中華料理」。中国の食文化の伝統に深く根差したそのルーツや歴史、日本への伝来事情などについて、横浜中華街の「菜香新館」にさんを訪ね、話を聞きました。
 曽さんは「菜香」の会長で、横浜山手中華学校の理事長も務めています。本紙は2010年に横浜中華街150年の歴史を取り上げて訪問インタビューを行ないましたが、今回も快く応じていただきました。                         (編集部)

 


紀元前の伝説にルーツ


 中華料理のルーツは、はるか紀元前の神話伝説の世界だったようです。  約6000年前のこの時代には「塩」以外にも、中華料理にまつわる多くの伝説が生まれています。紀元前2500年ころ、中原一帯(黄河の中下流地域)の肥沃な土地を占有して統一国家をつくった黄帝は、「かまどの神様」と崇められ、「黄帝こそ『中華料理の開祖』だといえそうだ」と、されています。
 しかし、現代でも食べる料理が出てくるのは宋代(960~1279年)になってから。そして、今日のような中華料理が普及するのは、ずっと後のようです。
 中国最古のメニューは「周八珍」と呼ばれるもので、「淳熬(チュンアオ)、淳母(チュンムウ)、炮豚(パオトウン)、炮羊(パオヤン)、擣珍(ダオジエン)、漬(ズー)、熬(アオ)、肝(ガンケン)」の八種類の料理。そして、いまや中華料理は日本をはじめ、アメリカ、欧州など世界に広がっています。


shinbun



 


地域ごとに異なる風味


 日本でも縄文、弥生などの時代にすでに日本食のルーツがあるように、中国の食文化もいろいろな地方にいろいろと多様です。
 国土の広い中国では、気候、産物、風俗、習慣の違いによって食生活も異なり、大きく四つに分けると、①北方系の北京料理②東方系の上海料理③西方系の四川料理④南方系の広東料理ということになるそうです。
 よく知られている、広東料理と四川料理の違いは、「広東は海に面し、河川が多く、気候温暖なので、肉家禽、海鮮や蔬菜の鮮度を生かした料理に特色があり、四川は内陸ながら湿度が高いので、発汗作用を促すため唐辛子や山椒を使った料理となります。気候や風土の違いで地域によって料理、味が違ってくる。日本の東北や関東、関西の味の違いと同じように」。そして「中国全土のを集めたのが、清朝北京の宮廷で供される満漢全席です」と曽さん。

 

 


日本人の好みは?


 曽さんは「中国料理は、遣隋使、遣唐使のころに食文化として日本に伝わったのではないか。茶は中国から最澄が茶の木を日本に持ってきた」と語ります。   奈良時代に中国から伝えられたという麺の□□(はくたく)」というものがあり、その流れを汲むものが、山梨に残る「ほうとう」。文献によっても、この「□□」が遣唐使によって日本に伝えられたのは間違いないようです。  「近代では、横浜が開港し、中国人が来てから中国料理を食べるようになったと思いますが、それ以前に長崎に卓袱(しっぽく)料理があり、料理は人について来る。文化と食は切り離されない」と語ります。  いま、横浜中華街には250軒から260軒の店がありますが、戦前は20軒から30軒だった、とのこと。  日本人がよく食べる中華料理は、「麻婆豆腐」、「酢豚」、「干焼蝦仁(エビのチリソース煮込み)」、「チャーシュー」、「青椒牛肉絲」(牛肉とピーマンの薄切り炒め)」、麺飯類では、「ラーメン」、「五目焼きそば」、「担担麺」、「チャーハン」、点心では、「餃子」、「シューマイ」、「春巻き」、「小篭包」、デザートは「杏仁豆腐」などが挙げられます。

 


進化する多彩な調理


 中華料理は調理法が多彩で、どのような食材でも工夫次第では利用できないものはないといわれます。日本でも飲食街には、必ずといっていいほど中華料理の店があります。  幅広い食材を利用しながら、より良い食卓を目指して、進化し続ける料理ではないでしょうか。

(Y)




「菜香新館」電話045(664)3155

 

 


[一覧に戻る]

#