日中友好新聞
平和と友好の歌声に願い込めて
感動の渦 「再生の大地」北京公演
大門高子
「平和を歌う 日本“再生の大地”合唱団北京公演」と題した横断幕の下、
平和と友好の願いを込めて歌声を披露する団員たち(9月1日)
「再生の大地合唱団」とサポーター82人は、8月28日から9月4日まで瀋陽・撫順・北京を訪れ、北京での演奏会を中心に多くの意義ある出会いと感動をもって帰国しました。副団長で作詞者の大門高子さんに今回の取り組みを報告していただきました。
歴史を見つめながら
今年は戦後70年ということもあり、さまざまなところで戦争の悲惨さが語られました。二度と戦争のない時代を、という願いは日中の多くの人びとの共通の願いです。
日中の歴史をたどる中で撫順戦犯管理所の元戦犯と中国人職員の魂の出会いを知り、合唱朗読構成を創作し合唱団を立ち上げ、これまで大学や日中友好協会の集会、中国大使館などで演奏してきました。
500人が熱い共感の拍手
9月1日、いよいよ北京での演奏会です。中国国際放送局(CRI)主催、対外友好協会、中日友好協会協賛、日中友好協会ほか後援による立派なホールでの演奏会でした。参加募集してすぐ満員になったとか。招待者も趙啓正(前国務院新聞弁公室主任)、劉徳有、国民的歌手の蒋大為、李玲玉の著名人各氏含め、2階まで満席で約500人が聞いてくれました。
決して上手とは言えませんが、日本人として思いを込め精一杯歌いました。蒙古踊りも入れて全体が明るくなり、とても良かったようです。会場の皆さんは食い入るように聞き入り、多くの人が泣いていたそうです。終わると、ともに立ち上がって拍手してくれました。
この演奏会は日中友好協会の田中義教理事長と合唱団団長の姫田光義さんが昨年CRIを訪ね、王丹丹部長らと懇談したことから始まり、大変忙しい中、コンサートが実現したものです。
撫順から密着取材してくれたCRIの王小燕さんや王穎穎さんはじめ皆さんが総力で取り組んでくれました。10数年前、南京事件をテーマにした「紫金草物語」の北京の2回の演奏会でお世話になって以来の長いお付き合いが下地にあってできたことと気付かされました。
中日友好協会から招待受け
公演前日、8月31日に中日友好協会が全員(日中友好協会法大教職員班含む)を招待して「歴史を忘れず平和を大切に」というレセプションを開催。中国人民対外友好協会の李小林会長(李先念元国家主席の娘)、中日友好協会の王秀雲副会長など国家級メンバーが出席され驚きました。
急きょ用意された最高級のピアノに合わせ組曲の中から4曲歌いました。
合唱団員でもある日中友好協会の田中理事長が「日中友好協会は国民とともに安倍内閣の戦争法案に反対し、愚かな歴史を繰り返さず友好と平和を進めていきたい」とあいさつ。
これを受け、李会長は「皆さんの心の底から溢れ出る歌声によってわれわれは当時の歴史をより深く心に刻みました。一部政治家の野望により日本国民が再び戦争をしてほしくありません。人民こそ歴史を作りだす真の原動力。ともに中日友好と世界平和を守ってゆきましょう」とあいさつしました。
公演前日に中日友好協会から招待を受け、レセプションに参加する団員と中国側の列席者。
(前列右から大門副団長、王秀雲中日友好協会副会長、5人目は姫田光義団長、
左隣は李小林中国人民対外友好協会会長、田中義教日中友好協会理事長、
宋敬武中国人民対外友好協会副会長、指揮者の安藤由布樹氏)
瀋陽や撫順でも歌を披露
今回の旅は、可能な範囲で合唱曲の歴史的な舞台を訪れ現地で歌いたいと思いました。
「北京公演に先立ち瀋陽特別軍事法廷の内部が今年復元されたので、そこで歌おう!」が実現。次に9・18記念館前の広場では館長や一般見学者の前で。
そして3000人を虐殺した平頂山事件の記念館と撫順戦犯管理所を訪れ、歴史から学び、歌への想いを新たにしました。戦犯を処遇した看護婦の趙毓英さんがお元気で、戦犯への取り組みと平和の大事さ、日本の9条を守ることの大切さを語って私たちを励ましてくれました。
市民と温かいつながり
中国に行くと朝の散歩が楽しみです。撫順では、いつも近くの労働公園で太極拳や合唱の輪に加わって市民と交流。楽しく一緒に歌い合う楽しい朝のひとときです。
今年は撫順の小学校で地域の合唱団と交流の演奏会を開いたところ、朝の公園の歌の皆さんが数年前から私たちを知っていたことが分かり、思わぬ再会の喜びとなりました。
南京や北京など、私たちはどこに行っても一緒に歌うことで友人になれることを大事にしてきました。うたごえは国を越えて笑顔で心通い合わせることができるのだと、心温かくなります。
いろいろな動きの中で、今友好と平和の願いを歌声に載せた取り組みを続けることはとても貴重だと思います。団員募集中!一緒に歌いませんか。