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HOME > 日中友好新聞 > 2015年9月5日号

日中友好新聞


戦後70年
日中友好協会、声明を発表
「安倍談話」厳しく批判 不再戦へ決意新たに
 

 

 

「戦争法案反対」「憲法守れ」と訴える人たち(しんぶん「赤旗」8月19日付)

 


 日本中国友好協会は8月15日、「戦後70年 声明」を発表しました(全文2面)。これは14日に発表された安倍晋三首相の「戦後70年談話」を受けて出されたもので、「安倍談話」の欺瞞性を厳しく批判、同時に中国侵略戦争の深い反省に立って創立以来65年、日中友好運動の基本的な理念としてきた「不再戦」の立場に立って「戦争法案」廃案への強い決意を示しています。

 


侵略戦争の責任直視を

 


 「声明」は冒頭、日本が中国をはじめアジア太平洋諸国に対して行なった侵略戦争で数千万人のアジア諸国民、310万人の日本国民が犠牲になった事実と責任を直視し、この戦争の史実を教訓にして再び戦争の過ちを繰り返さないために、戦争の「芽」となるあらゆる動きを阻止するために全力をあげる決意を述べています。

 

 


「談話」は真摯な「反省」「責任」を放棄

 

 そして「安倍談話」の問題点をいくつかの角度から指摘しています。
 第1に「安倍談話」が1995年の「村山談話」から大きく後退したものであり、「侵略」「植民地支配」の文言はあるものの一般論として述べたに過ぎず、日本の侵略戦争と植民地支配への反省はおろか、事実認識を曖昧にしていると指摘しています。
 第2に、日露戦争を「アジア・アフリカ諸国民を勇気付けた」と評価し、日清戦争を含む近代日本の歴史を正当化する「安倍首相自身の歴史認識」をあらわにしたものと指摘。
 第3に、侵略国であった日本が、戦後再び国際社会に受け入れられたのは多くの国の「寛容の心」などと述べ、侵略戦争の深い反省のもとにつくられた「日本国憲法には一言も触れていない」と厳しく批判しています。
 第4に、「子や孫、その先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を負わせてはならない」などと述べて、自らが「侵略戦争への謝罪と責任」に背を向けてきたことこそが中国韓国など国際社会から厳しく批判されていることには全く触れていません。
 「声明」はこのように指摘し、「安倍談話」の欺瞞性を糾明しています。

 


「戦争法案」廃案めざし奮闘


安倍
8月14日、総理大臣官邸で戦後70年談話を
発表する安倍首相
(首相官邸ホームページより)

 「声明」は最後に、戦争世代の多くが他界し、直接の戦争体験を聞く機会が少なくなり、戦争の記憶が薄らぐなかで、「国際貢献」「積極的平和主義」などの美名のもとに、日本を再び「戦争をする国」にするために「戦争法案」の成立を急いでいると述べ、協会は「日中不再戦」の理念の下に、貴重な「侵略戦争体験」(証言=侵略戦争・侵略戦争写真パネル)などを収録した器材を活用して、侵略戦争の実態を広く知らせる活動を通じて、日本を「戦争をする国」にさせないために奮闘すると締めくくっています。



 

巧言令色 少なきかな仁
怒りを通り越して呆れはてたる総理談話  中央大学名誉教授 姫田光義     


himeda
姫田光義氏

 「村山談話」の中のキーワードの文言がちりばめられてはいるが、論理の整合性と本気度が読み取れない。
 一番の問題は、明治以来の歴史を誇らしげに述べながら、植民地の深化と侵略戦争への必然性、それによる加害の具体的な歴史過程が消えてしまっていることである。
 わざわざ欧米人捕虜虐待に謝罪しながら、植民地化されていた朝鮮・台湾の人びとが「日本人」として処刑されてしまった事実、中国・朝鮮人やアジアの人びとへの虐殺・強制連行・「従軍慰安婦」化・毒ガス被害への謝罪もないし、今なお強く残るこの被害者たちの苦悩苦痛への理解も思いやりもない。
 こうした談話内容は、実はすでに横浜・大阪などで採用された育鵬社版歴史教科書に如実に表れていたから予め予想されていたところである。
 この出版社が総理の思想に阿(おもね)り、それを先取りしていたわけだが、こんなものが子どもの歴史認識を形成するのかと思うとゾットする。
 中国・韓国の反応が取りざたされているが、他国よりも日本人として、この談話を真剣に検討し平和と日中友好の運動にどのような意味を持つかを考えているところである。

 

 

 

誠意ある「おわび」こそ
               中国が批判


 中国外務省報道官は8月15日、「安倍談話」について「日本は軍国主義侵略戦争の性質と戦争責任を明確に表明すべきであり、被害国国民に誠意あるおわびをし、軍国主義侵略の歴史と徹底的に決別し、重大な原則問題において、いかなるごまかしもすべきではない」と指摘。
 日本が「侵略の歴史を正視し、深く反省し、平和発展の道を堅持し、実際の行動でアジアの隣国と国際社会の信頼をえるよう促す」と求めました。

 8月17日付人民日報(ネット版)は「安倍氏は『おわび』と言ったが、それは本人の直接のおわびではなかった。『侵略』と『植民地支配』に言及したが、それが日本の行為を指すのかは明確でなかった」と述べ、安倍氏は「侵略と植民地支配の歴史を極力弁護しようとさえした。安倍氏のいわゆる『反省』は空っぽの表明となった。土台の歪んだ反省に、どんな誠意が残っていようか」と批判。
 そのうえで、「安倍談話」は「20年前の村山談話と比べて大きな後退だった。安倍氏は『侵略定義未定論をかたくなに堅持しており、歪んだ歴史観を基礎に自ら思い描く『普通の国』を築こうとしていることを露呈した」と論評しました。
 同紙はさらに、安倍首相が談話発表の翌日、再び靖国神社に玉串料を納め、一部閣僚および多数の国会議員が靖国神社に参拝したことをあげて、安倍首相らの「侵略の歴史無反省」を重ねて批判しました。

(J)

 

 


 


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