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HOME > 日中友好新聞 > 2015年8月15日号

日中友好新聞


どう築く東アジアの平和
「戦後70年を問う」東京でシンポジウム
 

 

 

法政大学で開催された「戦後70年を問う」シンポジウム

 


 日本中国友好協会は、法政大学沖縄文化研究所、慶応義塾大学大西広研究室と共催し、国際アジア共同体学会の後援の下に、7月25日午後、東京の法政大学市ケ谷キャンパスで「東アジアの平和をどう築いていくか 日本、中国、米国、そして沖縄から戦後70年を問い直す」と題するシンポジウムを開催。34度を超す酷暑のなか、約300人が参加、この分野の第一線に立つ著名な学識者5氏の報告に耳を傾け、東アジアの緊張を打開し平和への道を切り開く展望を確かめ合いました。
 NHK、毎日新聞、沖縄タイムス、しんぶん赤旗、週刊金曜日、中国CCTV、人民日報などメディアが取材し、当日夜のNHKニュースで、シンポジウムの模様が1分半にわたり放映されました。

 


田中法大総長らがあいさつ

 


 法政大学法学部の宗彦教授の総合司会の下、先ず3氏があいさつ。
 法政大学の田中優子総長は、戦後70年の今こそ、「平和と安全」に向き合い、「平和にどう対処するか」を問うことが重要だと述べ、「戦争を起こさない道筋を語っていく必要がある」と強調、「70年を一緒に考えていきましょう」と呼びかけました。
 日中友好協会の大村新一郎副会長は、創立以来、過去の歴史を教訓に「日中不再戦」を掲げ、アジアと世界の平和擁護を追求している協会の活動を紹介。今回のシンポの成果について期待を述べ、会場を提供してくれた法政大学に謝意を表明しました。
 国際アジア共同体学会の進藤榮一代表は、21世紀は世界の構造が変わり、新興諸国とG7の力関係が逆転したとして、実際の数字をあげて説明。「中国脅威論」が正常な日中関係を妨げている現状に触れ、その根源を追求し、取り除く必要性を強調しました。

 

 


学識者5氏が講演、問題提起

 

 学識者5氏の「報告」に移り、毛里和子(早稲田大学名誉教授)、歩平(中国社会科学院近代史研究所)、新崎盛暉(沖縄大学名誉教授)、笠原十九司(都留文科大学名誉教授)、マイケル・チュチェック(上智大学非常勤嘱託教員)の各氏が順に登壇し、25分間ずつ講演しました。

 


「新しい日中関係を」(毛里氏)


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毛里和子氏

 毛里氏のテーマは「新しい日中関係を考える」。「新しさとは何か、旧から新へどのようにつないでいくか」を考えようと提起し、先ず40歳以下の新しい担い手が中心となり、「関係のネットワーク」についても、「政府同士」だけではなく、「民間、草の根」に広げた多様な交流をつくり出し、「関係をつなぐ価値」も、単なる「友好」に代わる「利益」、「非戦」、「地域」などを設定し、「東アジア共通の価値」へと発展させる必要がある、と力説しました

 

 

 

「歴史を鑑に前進めざそう」(歩平氏)


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歩平氏

 歩平氏は「歴史を鑑に新たな中日関係をめざして」と題して発言。歴史問題は中日関係発展の阻害要因となってきたが、この状況は国交正常化期間に歴史問題がきちんと解決されなかったことに要因がある、と指摘。「国を超えた歴史認識への努力」が必要だとして、中日韓3国間で05年に共通の歴史教科書『未来を開く歴史』を共同出版し、翌06年にはその新版を作り上げた実績を紹介。さらに「今日の東アジアには一強が雄を唱える局面は存在しない」と述べ、東アジア共同体建設への展望を語りました。

 

「沖縄から見た日中関係」(新崎氏)


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新崎盛暉氏

 新崎氏の演題は「沖縄から見た日中関係」。沖縄の民意を無視して辺野古新基地建設の作業を続けている安倍政権は、大国中国の台頭に対抗するには米国の後ろ盾が必要との判断から、同基地の提供や集団的自衛権容認による対米協力を必要条件としていると指摘。同基地建設阻止の闘いは、戦後70年、軍事的な「太平洋のかなめ石」を押しつけられてきた沖縄が、自らを「平和な文化的経済的交流のかなめ石」に転換させるための自己決定権の行使だと強調しました。

 

 

 

「歴史認識と新たな未来」(笠原氏)


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笠原十九司氏

 「歴史を振り返り新たな未来をどう築くか」と題して発言した笠原氏は、安倍政権が尖閣問題を利用して日米同盟強化と「戦争法案」強行をめざしていることを批判。歴史認識問題での日中対立が安倍政権下で一層深刻化している状況を説明し、「新たな日中の未来を築く」には、日本の首相が南京を訪れることが必要だと提起。平和な東アジア共同体の形成をめざして「日中間の歴史認識の対話と共有」を生み出す必要があると主張しました。

 

 

 

「米国から見た日中関係」(チュチェック氏)


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チュチェック氏

 チュチェック氏のテーマは「米国から見た日中関係」。米国の対中戦略は、国際的秩序のなかに中国を取り込むと同時に中国の力に対抗し中国の膨張を抑止することにある、と述べ、米国はどのような日中関係が自らの国益にかなうか模索していると指摘。
 日米安保条約の極東条項によって防衛義務を負うとしているが、戦略的曖昧さを伴っている、と説明しました。

 

 

 

相互討論で深まった論点


 プログラムは5氏の「講演」にもとづく「相互討論」へと進み、慶応義塾大学の大西広教授(協会副理事長)が司会を務めました。
 大西氏は、参加者から提出された多くの質問票の内容を①戦後70年史②沖縄③安倍政権と日本の将来――の3項目に整理。壇上に並んだ5氏は大西氏の司会の下で3項目のうちの関連テーマについて、それぞれ補足発言。その結果、各氏の当初講演の趣旨が一層深められ、参会者の理解も一段と広がり、この催しをさらに意義深いものとしました。
 大西氏は最後に、シンポジウムが大きな成果を収めたことを総括し、「東アジアの平和を必ず築いていこう」と訴えました。

 

 


 


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