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HOME > 日中友好新聞 > 2015年4月25日号

日中友好新聞


深刻な中国帰国者の介護問題
東京に初の訪問ステーション

 

 

訪問ステーションの開所を祝して

 


 家族を含め日本で暮らす2万人を超す中国残留孤児関係者、帰国1世世代の平均年齢は70代半ば、体調を崩す人も増えています。日本社会の高齢化が進むなか、これらの中国帰国者にとっても介護問題は深刻な問題になっています。大きな障害は「言葉の壁」です。
 その打開のために、「公益財団法人 中国残留孤児援護基金」(多田宏理事長)は、このほど東京に初の「訪問介護ステーション 寿星」を立ち上げました。所長の鶴原孝徳さんに、その背景や今後の展望について聞きました。

 

 


「高齢化と老後」が最大問題


 中国残留孤児援護基金は、中国残留孤児とその家族の日本語指導や日本の生活習慣習得、相互交流などを促進してきました。戦後70年を経て、ほとんどの残留孤児の帰国は実現し、いま「高齢化と老後」が最大の問題になっています。
 援護基金が行なったアンケート(2536世帯=回答1035世帯41%)では、「健康に不安がある」、「重病、寝たきり」の帰国者が55%を超えていることが分かりました。
 これまでも中国話者派遣や、デイサービス支援などをやっていましたが、このほど「訪問介護事業に直接乗り出す」ことを決め、初の「訪問介護ステーション 寿星」を東京都中野区に開設しました。

 

 


「訪問介護」に直接乗り出す

 

 中国帰国者のために役立てていだきたいと、中野区の一婦人がマンション一室を寄贈、改修のうえ今年2月2日にオープンしました。
 「寿星」には鶴原孝徳所長のほか中国語の話せる6人のヘルパーがいます。すべて帰国者2〜3世で30〜40代の女性です。訪問のエリアは主として中野・杉並・練馬区と都内全域の中国帰国者の訪問介護を目指します。
 介護保険法にもとづく事業であり、保険による報酬(保険9割、利用者1割、ただし多くの帰国者は公費負担の対象)が事業所に支払われますが、遠隔地までヘルパーを派遣すると、一般事業所より負担が増えると見込まれます。それを公益事業として取り組む予定です。ヘルパーの仕事は訪問介護による「身体介護」(予防を含む)、「生活援助」が主な内容です。
 鶴原所長は、元厚生労働省の身体障害者福祉を手がけた専門家。「まだ始めたばかりで手探りの状態ですが、必ず軌道に乗るものと確信しています」と話します。



 

鶴原孝徳所長

 

 

 

全都・全国への開拓を展望


 鶴原所長は「現在はテストケースとして東京に1カ所しかありませんが、これからは、地方にお住まいの皆様方のためにも、その地域を広げていくことを目標に進めていきたいと思います」と話し、併せて「成功するかどうかは一にも二にも中国語と日本語が話せて日本の生活習慣をきちんと指導できるヘルパーさんを確保できるかどうかにかかっています。もちろん資格を取得するよう援助もします」と言葉を強めました。
 ヘルパーでサービス提供責任者の田中霞(胡維霞)さんは「決して楽な仕事ではありませんが、やりがいのある仕事です。とりわけ戦争で大変な苦労をされた帰国者ですから心を込めて介護しています」と、明るく話します。 
 大田宣也さん(「中国帰国者」問題担当)は、「協会も協力できることがたくさんあると思います。これを機に帰国者2・3世との交流を強化していきたい」と、取材の感想を述べています。 (N)

 

 

 

 

連絡・問い合わせ先=公益財団法人中国残留孤児援護基金 訪問介護ステーション 寿星

 

〒164-0013 東京都中野区弥生町5〜5〜3〜102

 

03(6382)7125FAX03(6382)7202

 

Eメール=jusei@engokikin.or.jp

 

「公益財団法人 中国帰国者援護基金」とは?
 1983年、中国帰国直後の帰国者や家族、中国に残された養父母の支援事業を行うために設立され、中国残留孤児を支援するさまざまな事業を行なっているほか、「中国帰国者定着促進センター」(埼玉県所沢市)、「中国帰国者支援・交流センター」(東京都台東区)も運営している。


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