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HOME > 日中友好新聞 > 2015年4月15日号

日中友好新聞


ありのままの国情理解こそ
訪日中国人の急増に思う
佐藤洋子


 

中国人観光客を意識した店舗の飾りつけ

 


 最近、どこへ行っても、中国人観光客の姿を見かけます。

  観光庁の調査によると、2014年の訪日外国人数は、前年比29%増の1341万人となり、2年連続で過去最高。国・地域別にみると、一位は台湾、二位は韓国、三位は中国です。訪日中国人は、なんと前年比83%増の240万人で、初めて200万人を超えました。

 

 


円安と制度緩和が追い風


 なぜ中国人観光客が急増しているのか? 
  2013年秋ごろから円安・元高の傾向、14年はそれが顕著になりました。14年10月からは消費税免税制度が拡大し、食料品や化粧品等の消耗品を含む全品目が免税対象となりました。昨年免税手続きをした方の割合は、7〜9月38・3%、10〜12月53・6%と増えています。
  日中間の航空路線も輸送力が向上。上海や天津からの日本寄港のクルーズ本数も増えました。
  外務省は今年1月19日から、訪日中国人に対する数次ビザ発給要件を緩和。「相当の高所得者」とその家族に対し、1回目の訪日の際に訪問地の要件を設けない有効期間5年の個人観光数次ビザを新たに設けました。

 


 


お目当ては買い物


 日本に来る動機を聞いてみると、圧倒的に買い物です。
  外国人1人当たりの旅行消費は約15万円、中国人1人当たりの旅行消費は約23万円といわれています。このうち、買い物は6割、約14万円を買い物に費やしていることになります。
  日本のお土産で人気の物は、炊飯器、温水洗浄便座、空気洗浄機、電気シェーバー、美味しい温度を保ち持ち運べるフードジャー、セラミック包丁、美白のための栄養補助食品、酵素等の健康食品などです。
  人気コースとしては、ゴールデンルートといわれる東京・名古屋・大阪・京都。そして最近の傾向としては、個人観光客が増えて、北海道でスキー体験、温泉体験、桜や紅葉の鑑賞など、日本の民俗・風習に触れる特色あるコースも人気が出てきました。
  多くの中国人観光客は、日本式のサービス、環境、交通、食事、観光、買い物など大変満足しているようです。
  訪日観光客の増加拡大に伴い、日本側受け入れ能力不足が問題視されています。東京や人気の都市では国内の宿泊施設の確保、国際線航空座席の確保など年々難しくなりつつあります。
  訪日旅行と日本人国内旅行の需要がぶつかる春と秋の行楽シーズンは、各旅行会社ともバスの確保に必死です。安全運行対策も強化され、結果的に運転手不足、廃業化したバス会社もあり供給車両も減少しました。そこへ訪日需要が重なり、需給バランスを失っています。
  この状況は2020年東京オリンピックまで変わらないと考えられていますが、各関係機関が改善策について議論を続けています。

 

都内電気店で買い物する中国人旅行者

 

 

 

日本人の訪中は激減


 訪日中国人が激増しているのとは対照的に、訪中日本人観光客が年々減少しています。
  訪中日本人観光客の人数は、中国国家観光局のデータによると、過去には月間30万人台を維持していましたが、2012年の尖閣諸島問題を境に月間20万人台に激減。年間では12年352万人、13年287万人、14年268万人(推定)となりました。
  尖閣諸島問題、反日デモ、食品問題、PM2・5(大気汚染)、レアアース、中国軍機異常接近、靖国問題などが、日本人観光客の敬遠を招いているようです。

 

 

 


 

双方向の交流促進を


 今年5月22日から3日間、日本の観光業界、地方自治体、経済・文化の関係者ら3000人からなる「中日観光文化交流団」(日本旅行業協会、全国旅行業協会、日本観光振興協会が共同主催)が訪中すると、先日発表がありました。
  中国国家観光局は、「交流活動を通じて、中日の観光の双方向の発展を促進したい」と言っています。
  日本旅行業協会は、「年間300万人以上の水準を1日も早く取り戻し、より多くの日本人客に中国の良い点を知ってもらい、両国、特に地方間の交流を促進することを目指す」と語りました。 
  今年は、戦後70周年という節目の年でもあります。
  ぜひ多くの方がたが、積極的に中国に出かけて、ありのままの中国を知り、心ある中国の市民と心を通い合わせていくことが必要かと思います。(日中平和観光株式会社)

 

京都清水寺を観光する中国人の団体

 


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