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日中友好新聞

第46回全国きりえコンクール
熱気溢れる作品の数々
“きりえ”ならではの美しさ表現
前田尋

 

最優秀作「宍道湖のしじみ漁」亀田達子

 

 

日中友好協会会長賞「故郷の祭り」中西知恵子

 

 

 4月に行なわれた日中友好協会第46回全国きりえコンクールでは、「大人の部」に8府県から39人69点、「ジュニアの部」に1団体10人の10点が寄せられました。審査の結果、「大人の部」の最優秀作に、亀田達子さん(愛知)の「宍道湖のしじみ漁」、日中友好協会会長賞には、中西知恵子さん(和歌山)の「故郷の祭り」、また「ジュニアの部」では最優秀作に井村遥菜さん(岐阜)の「大きな木に…」が選ばれました。  昨年の第45回全国きりえコンクール入選作品37点は、初の海外展として、中国揚州市で展示されました。剪紙芸術を誇る国での日本のきりえは、人びとの暮らしや街並み、外国の風景も描いて、その視点が好評でした。  今年の第46回展も、それに劣らず百花繚乱に、きりえならではの表現が溢れています。


大人の部=39人69点


  4月20日に開かれた大人の部の審査会では初出品者4人を含む69点の作品群は、会場いっぱいに並べて見ると、それぞれの作者の意気込みの伝わる熱気溢れるものでした。  きりえ委員による審査は、まず入選作品を選び出し、その他のものは準入選とし、なお、選外とすべき作品はないと決定しました。  全体を見渡して今年の特徴は、テーマや表現技法の大きな広がりと粒ぞろいの作品群と見える一方で、強烈な独自性をもつものが見当たらないことでした。  しかし、選考を進めてゆくうえで、佳作から優秀作が選び出されると、やはり、きりえの墨の美しさ、きりえでなければ表現できないカッティングの魅力に溢れたものが並びました。

第46回全国きりえコンクール審査会場


最優秀作は「しじみ漁」


  最優秀作には、愛知の亀田達子さんの「宍道湖のしじみ漁」が選ばれ、きりえでこそ可能な表現、湖上の小舟で大きな熊手を使い、しじみを漁る漁師たちの力強い収獲の様子が明るく描かれています。  日中友好協会会長賞には、和歌山の中西知恵子さんの「故郷の祭り」。小さな町の祭りの地車をアップに若者たちの休憩する様子をフワッとした線で表現。人物の置き方にも工夫が見られます。



風景を主に10点の優秀作

 優秀作では長坂栄子さんの「Radio City T」。ニューヨークの音楽ホールを高層ビルの中に描く、入口の飾りやタクシー、人物のシルエットなどアメリカの香りを伝える。

 藤井恵美子さん「おなじみさん」。立呑みの店か、準備中立ち寄った2人連れがカウンターにもたれ、店主と語らう。のれんや提灯、メニューなどが、限定された彩色と黒との組み合わせが美しい。

 黒田峰子さん「そよかぜに舞う」。風に吹かれるさわやかな女性から蝶が飛ぶ、背景の緑も心を和ませる。バックの時計の写真にはもう一工夫を。

 成田静子さん「希望」。かなでるバイオリンは希望を伝える。太陽の輝きに音色も響き渡る。整理された構図も印象深い。

  安藤一代さん「ウエルカム・ハロウィン」。動物園でスケッチした猿たちを組み合わせた。ハロウィンでベンチに飾られたぬいぐるみやカボチャを見る親子、生態の表現が適格。

  竹内宜子さん「結ぶU」。花束の結び目に魅かれた作者の表現は、花を上方に少しのぞかせ、白黒の作品に仕上げた。固い目の線描が黒ベタとの対比で美しい。

 住田美恵子さん「花・燃ゆる」。一貫したクローズアップで迫る花の表現。力強く生きる美しさを歌う。

  早瀬ふさこさん「アンコールワットの西参道」。高い位置から歴史遺産に向かう人びとの群れを描く。柔らかく自在な線描は穏やかな時間を感じさせる。

  佐野和俊さん「板壁の路」。非常にカッチリとした描き方ながら、光と影の表現は的確にきりえの美しさを感じさせる。抑えた色合いも魅力。

  中村以久子さん「漁港の昼下がり」。港の一隅で語る漁師夫婦か。作業をする人、干された魚、所在なげな犬と組み合わせがうまい。

 以上優秀作10点で、佳作には9点が選ばれましたが、優秀作との差は微妙なところです。風景が主となっているものの、今後、正面から描く人物画や抽象的な表現にも期待したいものです。 (きりえ委員会委員長)

 

 


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