日中友好新聞
2013年11月5日号1面
日中平和友好条約35周年レセプション
難局をを打開し新たな前進めざそう
「日中平和友好条約締結35周年記念レセプション」、中央奥はあいさつする長尾会長
日本中国友好協会は10月18日夜、東京都内で「日中平和友好条約締結35周年記念レセプション」を開催、各界知名人、協会関係者ら70人余りが参加しました。1978年以来35年間の日中関係を回顧、同条約の重要性を再確認し、その原則を土台に友好運動の一層の前進をめざす有意義な場となりました。
長尾会長、条約の意義強調
協会の田中義教理事長が司会を務め、最初に長尾光之会長が主催者を代表してあいさつ。1972年の日中国交回復に続く78年の平和友好条約の締結は、日本の中国侵略15年戦争の終結を公式文書で確認したことを意味するとともに、その条文には、両国間の恒久的な平和友好関係の確立、両国民間の交流促進などがうたわれ、日中関係の新たな出発点だったと、その意義を強調しました。
そのうえで、「尖閣問題」で日中関係と両国民感情は極めて悪化しているが、問題の平和解決を求める各界著名人アピール賛同運動を進め、協会創立以来の伝統に立脚した日中友好世論の盛り上げによって、「現在の困難は必ず克服できる」と力強く結び、大きな感銘を与えました。
「残留孤児」弁護団・鈴木経夫団長から、日中友好協会の裁判支援に感謝が述べられた後、「友好運動の一層の前進を」の発声で全員が乾杯。
来賓あいさつなどに盛んな拍手
諸来賓のうち、中国大使館友好交流部の汪婉参事官(大使夫人)、筑波大学名誉教授・進藤榮一(各界アピール呼びかけ人)、日本共産党副委員長・緒方靖夫(国際委員会責任者)の3氏があいさつし、社会民主党党首・吉田忠智氏のメッセージを司会者が代読、それぞれ盛んな拍手に包まれました。
汪婉氏は、35年前の条約は日中の平和共存を方向づけ、安定・発展の基礎を築いたと指摘。「両国関係は現在、領土問題、歴史問題をめぐって最も困難な局面にあり、目にしたくない事態となっているが、中国政府の日中関係重視の立場には変わりはなく、日本政府が両国関係を正常な軌道に戻すことを希望する」と力説。
政府関係には山あり谷ありだが、民間友好を発展させ、民で官を促すことが大切であり、中国大使館も皆さんと共に頑張りたいと述べました。
中国大使館からは、孫永剛一等書記官も出席しました。
進藤氏は、21世紀は「アジアの世紀であり、一つのアジアがつくられつつある」と説明。自らの論戦の経験も披露しつつ、「中国脅威論」克服の重要性を説き、「日中関係は、日本の中国侵略戦争の時期を除けば2000年の互恵の歴史をもっている」と述べ、条約以来の35年は、「人生でいえば30歳半ばの剣が峰。これを乗り越えられるかどうかは、自らの知恵、勇気にかかっている」と、日中友好協会の運動の発展に期待を表明。
緒方氏は、「平和友好条約第二条の反覇権°K定は、条約案審議の国会で問題になったが、第一条の紛争の平和的解決∞武力排除≠ニ一体のものとして、今や日中両国が遵守せねばならない普遍的な意義をもっている」と指摘。
また、尖閣問題の話し合い・平和的解決とともに正しい歴史認識を国民に広く訴えることの重要性を強調し、「日中友好協会は、まさにその力をもっている」と激励しました。
「中国百科検定」については、この時期に素晴らしく画期的と賛辞を表明しました。
吉田氏のメッセージは、「村山談話」の踏襲、日本の中国に対する過去の行為の真摯な反省が両国の平和的発展と東アジアの平和・繁栄につながると指摘。「社民党は、日中平和友好条約の目的を再確認し、東アジアにおける平和的秩序の形成と両国人民の友誼を大切にし、日中両国の友好親善のための交流を一層発展させたい」と表明しています。
社会民主党からは、深谷氏(総務・企画局[国際担当])が出席しました。
中国琵琶の演奏、満場を魅了
この日唯一の文化プログラムとして、天津出身で在日10年余りの中国琵琶の名手・鮑捷さんが、アンコールを含め、中国南方の少数民族・イ族の歌曲など3曲を披露。会場のそれまでの学習的雰囲気を癒すかのように、鮑さんの指先から奏でられるあでやかな旋律は満場を魅了、拍手喝采を浴びました。
阿部兼也副会長が閉会あいさつ。「草の根交流を前進させよう」と締めくくりました。
日中平和友好条約の骨幹をなす五カ条のうち、第一〜第四条の全文次のとおり(第五条は、条約の有効期限〈十年〉とその後の更新、条約終了の規定)。
第一条 1 両締約国は、主権および領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等および互恵ならびに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。
2 両締約国は、前記の諸原則および国際連合憲章の原則にもとづき、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決しおよび武力または武力による威嚇に訴えないことを確認する。
第二条 両締約国は、そのいずれも、アジア・太平洋地域においてもまたは他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国または国の集団による試みにも反対することを表明する。
第三条 両締約国は、善隣友好の精神にもとづき、かつ、平等および互恵ならびに内政に対する相互不干渉の原則に従い、両国間の経済関係および文化関係のいっそうの発展ならびに両国民の交流の促進のために努力する。
第四条 この条約は、第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものではない。