日中友好新聞
2013年7月25日号1面
友好関係は「きりえ」から切り開く
初の海外展覧会 中国揚州市で
6月24日から7月2日まで中国江蘇省揚州市できりえ展覧会が開催され、第45回全国きりえコンクールの最優秀作から入選作まで37点が展示されました。
招待を受けた協会の代表団(4人)が26日から30日まで訪中し、地元剪紙作家たちとも交流しました。田中義教本部理事長を団長に、きりえ委員会の前田尋委員長、漫画家の段重喜、きりえコンクールで入選した佐々木ふさ子の各氏が参加しました。
これは協会としても初の海外展覧会で、2011年11月に江蘇省人民対外友好協会からの提案に応え、交流の一環として実施されたもので、昨年開催の予定でしたが、諸般の事情から延期されていたものです。
1600年の剪紙の歴史もつ
開催された揚州市は鑑真ゆかりの地で、古くから日中友好にとっても特別の場所であり、1600年の剪紙の歴史ももっています。
東京と関西から現地入りした代表団を多数の剪紙作家、市民が出迎え、その熱烈な歓迎ぶりに一同大感激でした。
会場では市の政治協商会議王克勝副主席が同行、広い会場に展示された作品を見学、その後会議室で剪紙作家たちと交流しました。
曹永森氏(揚州市老芸術家協会主席)はじめ、会場の揚州市文化館の曹廷昌館長、楊棟副館長、中国唯一の剪紙博物館の王京館長らが参加、日本側に次々と質問が発せられ、日本のきりえに対する関心の高さを表していました。
人間国宝級の芸術家と交流
また、人間国宝級の張秀芳女史、張慕莉女史、熊崇栄名人らと交流することができ、翌日、南京では著名な張方林氏が自ら実演、解説してくれました。中国側の剪紙は鋏(はさみ)、日本のきりえはカッターと道具の違い等も含め、共通性と相違性が交流を通じて理解できました。日本は絵画性、中国は技術性が高く、団員は中国剪紙の繊細さに感心しました。
南京では南京大虐殺記念館も訪問し、朱成山館長自らが入口まで迎えに出てくれ、平日にもかかわらず満員に近い多くの見学者がいて忙しいなか、貴賓室で時間を割いて交流してくれました。
不再戦平和活動を高く評価
最終日には、今回の招請者である江蘇省人民対外友好協会の呉錫軍会長(元江蘇省副省長、全人代委員)と会食、懇談しました。日中友好協会の日ごろの不再戦平和への活動を高く評価するとともに、江蘇省は8000万人以上の人口で、日本に親近感をもつ人が多く、今後本部、愛知県はじめ友好協会との交流を一層進めたい、との発言がありました。
田中理事長からもお礼を述べるとともに、「両国の関係が緊張状態にあるからこそ、文化を通じた、草の根の交流が大事だ」と、述べました。入国から帰国までお世話いただいた扈海鷗秘書長も同席しました。
今回の訪中は緊迫した日中関係、PM2・5、鳥インフルエンザの影響など周りからいろいろ言われた人もいますが、訪中を終え「心配するようなことは何もなく、皆よくしてくれた。どう感謝してよいか分からない、まさに『百聞は一見に如かず』」との感想も寄せられました。
また、交流を通じて、日本のきりえ文化を中国市民に伝えることができ、文化を通じた交流の感触が得られたことは大きな意義がありました。「友好関係はきりえから切り開く」をスローガンに今後も交流を深めたい、との意を強くしました。
「以前、きりえの訪中団を企画したが実行できず、今回実施できてよかったし、非常に意義があったが、もっと多くのきりえ愛好家が参加できればよかった」との感想も聞かれました。
最後に、地元紙「揚州日報」、「揚州晩報」の記事(概要)で次のように紹介されています。
(T)
日中友好協会きりえ展覧会 揚州で技術交流
展示された作品は素朴で、誠実、率直で、影響力に富み、日本の歴史文化、民衆の日常生活と各地の風情を生き生きと反映している。
「(揚州市人民対外友好協会副会長・左為民氏)両国の関係が緊張している状況の下で、日本の民間人士が訪問してくれたことは両国の民間友好交流を強化し、発展させるものであり、歓迎の意を表明したい」