日中友好新聞
2013年2月25日号1面
古代中国の伝統をいまに
躍動感溢れる“刀削麺”の妙技
日本人の「ラーメン好き」は老若男女を問わない。そのルーツは中国麺だ。日中間の交流が盛んになり、中国から多くの職人が日本全国に渡来し、“麺の本場中国の味”を堪能させている。なかでも、“刀削麺”(とうしょうめん、ダオシャオミエン)は、その作り方や風味で群をぬいている。東京赤坂の専門店「唐朝刀削麺」に足を運んでみた。
西安の有名店で修行を積んで
鮮やかな手さばきをみせる
料理長
出迎えてくれたのは、料理長の白雨さん(36歳)、宋志峰さん(34歳)。2人とも若いが、白さんは「20年近いキャリア」をもっている。料理人だった父の影響を受け、中国西安の有名な「西安飯荘」で18歳から修業し7年前に日本に来た。宋さんも料理が好きで白さんの後を追い5年前来日した。
発祥は元代「戦場で兵士がよく食した」
刀削麺のルーツは、遠く元代(1279〜1368年)に遡る。モンゴル族の統治者が漢民族の造反を恐れて金属製の武器を取り上げた際に、各家庭の包丁も没収したうえで10軒に1つの割合で包丁を割り当てて順番に使うこととさせた。調理上の不都合から、薄く小さな鉄片を用いて柳葉の形に削った麺を作ったことが発祥とされている。1000年以上の歴史がある。
白さんは「古代の中国の兵士たちは戦場食として刀削麺をよく食べました。戦地の移動に便利なように、麺を硬く作って持ち運び『くの字型』に曲がった包丁で一本一本削って鍋に入れるのが特徴です」と話す。
こたえられないモチモチ感の「歯ごたえ」
白さん(左)と宋さん
中国の麺の作り方は、麺棒で伸ばす、手で伸ばす、包丁を使う、と大きく3種。刀削麺は包丁で削る。小麦粉が原料の麺のなかでも、その最大の特徴はラーメンなどと違い「モチモチ感の歯ごたえにある」と言う。
中国は南が米作、北は小麦粉を生産する。小麦粉が原料の餃子も圧倒的に北が多い。小麦粉は、山西省、陝西省、河南省が主たる産地。
2人とも山西・陝西省の出身である。
鮮やかな手さばき まさに「妙技」だ!
おいしそうな麻辣刀削麺
その腕前を見学させてもらった。小麦粉をしっかりこねて、人間の腕の倍ほどもある麺に丸めて斜めに抱えながら「くの字包丁」で柳葉麺の形にしてスイスイと鮮やかに鍋に飛ばしていく。1分間で120回削ると言う。1人前は60回分。あっという間に出来上がる。
「一番難しいのは」と聞くと、「麺の長さ、太さをすべて同じに削ること」だと言う。年期が必要である。中国ではいま、刀削麺ロボットが普及し始めたと言うが、心を込めた「人間の腕前」にはかなわないだろう。
食べさせてもらった。話の通り「モチモチ感の歯ごたえと、程よい唐辛子の味」が長く舌に残った。
(宣)
唐朝刀削麺 赤坂見附店
●住所=東京都千代田区永田町2-14-3 東急プラザ赤坂B1F
(地下鉄赤坂見附下車2分)
●電話=03(5510)1139
●営業時間=(月〜土)午前11時30分から午後2時30分、午後5時30分から11時。
(日・祝)10時まで。